飛鳥・橿原ユネスコ協会 設立趣意

 『戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。』ユネスコ憲章の前文で謳われている言葉の中には、戦争と平和という大きなキーワードが含まれており、そしてこの相対した言葉はいつの時代にも存在し続けています。1945年に第二次世界大戦が終結した後、経済をはじめ、医学、化学等あらゆる科学分野で日本は目覚しい発展を遂げてまいりました。それは、人間がよりよく生活していけることを目的とした手段であり、まさしく高度成長時代の象徴でもありました。そしてその結果、確実に私たちの生活は物質的には豊かになり、娯楽も増え飽食の時代と言われるようになりました。では、これによってすべての人々が満足し、幸せな生活を送れていると言えるのでしょうか。コミュニケーションがうまくとれないため、命の尊厳を無視したお互いを傷つけあう行為、便利さや快適さを求めるあまり起こりつつある地球環境の劣化、それにより、とうとう地球の存続期限までが云々されるまでの未来への危機、失望感等々、至るところで深刻な問題は限りなくエスカレートしています。 
ユネスコの活動は、文字どおり、教育・科学と文化のカテゴリーに入る活動の部分であります。世界各地に分散する素晴らしい文化遺産や、自然等を全地球人がお互いに認め合い、みんなの宝とし、それらを健全な地球存続のもとに保護し、我々の次世代に伝えていこうとするのがユネスコ精神であります。そのためには、戦争や地球環境破壊など許してはなりません。この活動は素晴らしい文化遺産を持つ地域の人々の義務でもありましょう。
 1400年以上の歴史を持ち、日本人の心のふるさとでもある飛鳥・橿原の地には、先人たちが民族の平和を願って知恵を出し合い、築いた世界的レベルの文化遺産を持っております。このユネスコ活動を通じ、世界平和と地球を守るため、ユネスコ精神に則って活動いたしたく思います。

 2009年3月29日                                   

飛鳥・橿原ユネスコ協会
                    会 長  米田 正國