土湯地熱発電所 見学旅行

科学・環境委員会

10月24~25日、再度、土湯温泉見学ツアーに行って参りました。一行12名の少数精鋭である。

被災地視察

お昼前に常磐富岡を訪れた。
このあたりは帰還困難区域で、立ち入り禁止区域との境界である。
富岡の駅舎は跡形も無く、ホームの跡には雑草が生えている。駅へのメインストリートには、一階が津波で破壊された家、商店、会社、ホテルが残り、静まりかえっている。息をする者の気配が無い。なぜか小鳥の声さえも聞こえない。被災地視察
放射性物質が、雨等で洗われて、立ち入り可能となるのを待って、道路、宅地、田畑、原野、全ての表面を削り取り、帰還可能区域に変える作業が進行中であった。削り取った物は袋詰めにされ、道路端の空き地にころがしてあった。

食堂「華や」

富岡を離れ、土湯に向かう途中、田村市内の食堂「華や」に立ち寄り、遅い昼食をとった。旅行会社が予約を入れてくれたおかげで、休業日であるにも拘わらず歓迎してくれた。古い大きな農家を活用し、近辺の主婦たちが運営している。食材も地産品。この日は近くの岡の上に建つ中学校の生徒さんたちが栽培した野菜も卓上に。その素朴な郷土料理のどれもが美味い。「いか人参」なる料理は、裂きいかと人参が胡瓜の上に乗っているものだが、これも何故か美味い、最後にコーヒーが、コーヒーカップの親分の様な重い大きな器で出された。まるで茶の湯の風情である。思わず逆さにして底を覗いて見てしまった。避難区域であったこの一帯には、訪れる者も少なく、我々一行に対して、精一杯のおもてなしをしてくれている。その心が、伝わって来る。ありがとう、御馳走様と言ってあとにする。

土湯、地熱発電

細い橋を渡り、土湯の山水荘に着いたのは、夕方の5時半頃で、3年前とは異なり、宿は満員の状態だった。風評被害の払拭に成功した何よりの証しである。翌25日は地熱発電、小型水力発電、を構想し実行し造り上げた地元の町内会長さんの様な、加藤勝一氏の講演を拝聴した。
今は「(株)元気フップつちゆ」と言う名称の会社を立ち上げ、社長さんである。ここの凄さは、町の電力需要を、バイナリー方式の地熱利用の発電と小型水力発電で賄う事に成功した事だけではない。 それを地元の有志が発案、企画し、資金を集め、一致団結して力を結集し、実現させた事にある土湯地熱発電所。国が悪い、県が悪い、行政が悪い等と言う事を、一切言わない。ここまでやってしまえば、自民党も民主党も関係無い。原子力村の抵抗も、環境省も国立公園も関係無い。
地方創生を実践して見せてくれた。今では一転して皆協力的なのである。成功の可能性が高まった今では、補助金も出るし、協力したいと言う会社もあり、選別しているそうである。国家規模でこれを推進すれば、日本は資源大国に変貌する。地熱と水、これは噴火と洪水を想起してしまうが、日本が世界に誇る資源なのである。戦争の原因の大半はエネルギー資源の争奪に起因すると知られている。
その意味で、日本が地熱利用、水力利用により、電気エネルギー需要を自国で賄える様になれば、戦争のサイクルから脱し、実力の伴った、真の平和国家として、世界を導く事ができるだろう。

雨ざらしの発電所

実際に地熱発電所を見せていただいた。何とむき出しの雨ざらしである。国立公園内の為、建物の建築許可が下りないのだそうである。国は未だそんな事を言っているのか、何が重要か天秤にかけて見ろ。ユネスコは何か協力できないのか? 老人特有の短気が顔をのぞかせる。頭を冷やし、冷静に考えてみたい。     (神澤)

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