砂漠の緑の丘から始まる小さな夢

ペルーのイメージと言えば、やはりマチュピチュ遺跡やナスカの地上絵でしょうか?

ペルーにはもっと身近な場所にも、気づかれていない素晴らしい自然や文化がありま地元の学生ガイドがルクモ丘の昆虫を紹介す。

今回はその中のひとつ、「ルクモの丘」をご紹介します。
首都リマから車で南に1時間。砂漠の中にポコッとした丘がいくつかあり、その中の一つが「ルクモの丘」と呼ばれています。1年中雨がほとんど降らないのですが、海霧が発生する6月から11月の時期だけ、砂色の丘が緑色に変わる不思議な現象が起きます。緑になるのは、濃く立ちこめた海霧がもたらす水分が植物たちの芽吹きを助けるから。

日本でも馴染みの深いオオイヌノフグリを含め多種多様な花が咲き出し、訪問客の目を楽しませてくれます。このような微妙なバランスを保った砂漠の丘は、世界中でもペルー、チリ、南アフリカ、西オーストラリアでしか見ることができません。
丘近くに住む人々もまた、微妙なバランスが必要とされる難題に挑戦し、その歩みを着実に進めています。「ルクモの丘の観光」を通じて自然環境を守ると同時に経済的収入を得るというものです。

先日私は、村人たちのガイド力向上のための「インタープリテーション(物事をわかりやすく楽しく伝え、参加者に興味や感動を与えるコミュニケーション技術)講習会」を行う機会に恵まれました。「ガイドになりたい!」という夢を持つ村人たちが熱心に耳を傾け、積極的に参加してくれたのがとても印象的でした。

私もまた夢を持っています。ペルーでインタープリテーションを広め、訪れた人々が「また来たい!」と思えるような案内のできるガイドをもっと増やすことです。そのスタートがルクモの丘となり、今ではその活動が少しずつ広がり始めています。
厳しい環境下でも頑張って芽吹く砂漠の丘の緑たち。村人たちと私の夢も、困難にめげず、ここの場所から大きく育つといいなと思っています。(太田さやか)
在ペルー、鎌倉ユネスコ・ペルー・スタディーツアー・コーディネーター

 
 

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