ペルー便り
雲の戦士、チャチャポヤス

ペルー北部で現在最も注目を浴びている場所に、アマゾナス県チャチャポヤスがあります。雲霧林(うんむりん:アンデス地帯と熱帯雨林地帯の間)に位置するため、霧と遺跡の上から撮った写真ー右上の黒い点は人雨がよく発生し今から1100年ぐらい前に誕生したインカとは異なる独特な文化、チャチャポヤス文化が興った場所としても知られています。この文化は、インカ帝国以前の文化で、常にインカ帝国に反抗していたそうです。
1470年頃にインカに支配されますが、スペイン人が侵略してきた際、彼らに手を貸し、インカ帝国滅亡に貢献しました。しかし、その後、結局はスペイン人に滅ぼされてしまいます。チャチャポヤス人は死者を大事にし、ミイラ化した遺体をすばらしい織物で包み、人が行けそうもない急峻な岩壁に運び、土で作った人型の棺の中にいれ、祀る習慣がありました。勇敢だった戦士を、村が見下ろせる岩壁に祀ることで、死後も村を守ってもらえるという信仰があったとか。朝夕になると岩壁が雲に包まれるため、チャチャポヤス人は、「雲の戦士」という名で呼ばれることもあります。石でみっちり詰めている高さ20メートルの建築物
チャチャポヤス文化は様々な遺跡を残しています。クエラップ遺跡はその一つ。クスコのマチュピチュ遺跡に比較したらとても小さいですが、山の上の約6ヘクタールの広さに高さ約20メートルも石をびっしり積み上げた建築物で、その上に儀式の場所、住居、倉庫などの形跡を見ることができます。その他の遺跡は岩壁に作られているものが多くたどり着くためには、崖の上に作られた細い道を歩いていかなければなりません。
一歩間違えれば、谷底へ!「どうしてここに?」「どのように?」と問わずにはいられない、現代人の想像の枠に収まりきらないミステリーが未だにゴロゴロしているのです。     (太田さやか)

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