ユネスコとユネスコ協会について

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 ユネスコ(UNESCO:United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization)は、国際連合教育科学文化機関のことで、教育と科学と文化の分野での国際協力をすすめ、相互のコミュニケーションをはかって世界平和と人類共通の福祉を実現しようと設立された国連の専門機関(本部:パリ)である。なお、よく間違えられるユニセフは、戦争や紛争で家や家族を失い悲惨な状況におかれている子供たちに、食糧・衣料・薬等を援助する国連総会常設の下部機関である。

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 「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」。これはユネスコ憲章の前文冒頭を飾る有名な言葉である。1945年11月16日にユネスコ憲章は採択され、翌1946年11月4日、20ヶ国がユネスコ憲章に署名した時点で憲章は効力を発し、ユネスコがスタートした。現在は、加盟国が 184ヶ国、準加盟国が3ヶ国となっている。

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 ユネスコのマークは、ギリシャのパルテノン神殿をかたどったものである。人類の英知を結集して創設されたユネスコは、古代ギリシャ文明がもたらした精神的遺産に敬意を表し、英知のシンボルであるパルテノン神殿の正面の姿に、UNESCOの6文字を配してマーク(エンブレム)をデザインした。

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 ユネスコは国連などと同じく、国が加盟し、国家予算から分担金を払い、総会には政府代表団を送る「政府間組織」である。政府間組織でありながら、ユネスコが数多い国連の専門機関の中で民間活動を最も重視しているのは、ユネスコ憲章の前文に「平和を守るためには、市民の参加と協力が必要である」とうたっているからである。ここに他の政府間組織に見られないユネスコの特色があるといわれている。この前文の精神を各国が守るために、憲章第7条には、加盟国は民間の代表を含む「国内委員会」を設置するようにとある。このようにユネスコは、政府間組織と民間組織が一体となって活動を展開している国際機関といえる。世界の草の根の民衆がその活動を支えているからこそ、ユネスコはまた「国連の良心」ともいわれている。

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 戦後50年を経て、いまでは 100ヶ国5300を超えるユネスコ協会やユネスコクラブが、世界でユネスコ民間運動を行っている。その最初の灯をともしたのは日本人で、1947年7月19日、仙台ユネスコ協力会が世界で最初に産声をあげた。「国連のしくみ」(吉田康彦著,1995)でも、『…精神文化面で日本が世界に誇れるものが少なくとも一つある。それは日本で始まり、世界へとその輪が広がっていったユネスコ民間運動である』と紹介されている。現在、日本国内には 274の民間のユネスコ協会・クラブ組織があり、地域の特色を生かした多彩な活動を展開している。この全国のユネスコ協会を束ね、連絡調整の役にあたっているのが日本ユネスコ協会連盟である。

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 日本には「ユネスコ活動に関する法律」(昭和27年公布)が施行されているため、全国のユネスコ協会は地方公共団体に助成や援助を要請することもできる。全国のユネスコ協会のうち、半数以上が市町村の教育委員会に事務局を置いているのも、法律があるからである。

日本ユネスコ協会連盟編「ユネスコで世界を読む -21世紀にひきつぐ国連の良心-」から(古今書院発行,1996)