1963年、大規模な火事がおきたマリバイは、サンロレンゾの学校の寄付金などで復興しました。しかし、食べ物やお金はいつか尽きてしまいます。衣食住が足りても、それだけでは本当の「復興」にはならないのではないかと考えたフィリピンの先生方は、学校を建てることにしたのです。
 そうして生まれた、スラム街の小さな姉妹校。そこの生徒の家にも私は一泊、ホームステイをさせてもらいました。家の上に家が建ち、汚れた川にはゴミが溢れ、トイレやお風呂はなく、窓がない狭く小さな家・・・日本では考えられないような場所・・・しかし、そんな中で勉強しているマリバイの子供達は皆意欲に燃えていました。お腹いっぱいおいしい物を食べ、清潔なベッドで眠ることも保証されない。そんな中で教育を受けることは特権なのです。生きたい、社会に加わりたい、マリバイの小学生達の目は、輝いていました。
 サンロレンゾの生徒やマリバイの小学生達がフィリピンの国旗を見上げている先には、きっと「夢」があるのです。いつか必ず国を良くすると。フィリピンの人達は、今置かれている国の状態を見つめ、絶えず向上心があります。この国の中で生きていくために自分はどうすべきなのか見据えています。
 それでは、日本の私達はどうでしょう?ほとんどの高校生は外見ばかりを気にしています。電車の中でのお化粧、携帯でのメールのやりとり、ダイエット・・・向上心や勉学に対する意欲、自分を取り巻く社会への関心などは無縁なことのように思えます。
 貧しい人達がご飯を食べられないのをビデオで見て、半かわいそうと言いながら平気でご飯を残す。
 毎日生きるために勉強している人がいると分かっていながら、メールに没頭する。私自身にも覚えがないわけではありません。
 私は今一度、自分自身に問います。「私に何ができる?」 答えは容易には見つかりません。しかし私は、このことを心に留めて、生きていきたいです。
 今受ける教育のすべてが実りある国際交流の掛け橋になるよう、私はこれから自分が社会へ出て行くにあたって、この大切な経験を忘れずに、自分自身に問いかけていきたいです。
一日一食、食べるのがやっとという人々。フィリピンという国で、私はそんなお母さんや子供達にご飯を配るお手伝いをしました。私のそばにいた三、四歳の小さな女の子は、英語が通じず、全然笑ってくれなくて、私は戸惑うばかりでした。私が片付けをしていると、その子が小声で「Salamat」と言っているのが聞こえました。私はフィリピンの先生にタガログ語で「Whatis your name?」をどういうのか教えてもらい、問いかけてみると「ミシェル」と笑顔で言ってくれたのです。その笑顔に私は胸を締め付けられました。
 またある日、フィリピンの先生方がレストランへ連れて行ってくださいました。そこの料理はとても美味しく、夢のようでした。ところが、レストランから一歩外に出ると、「money」と言いながら、小さな子が近づいてくるのです。あまりのギャップに、私は思わず逃げるようにして車に乗ってしまいました。お金をあげたくても、その時だけの感情であげるのはその子にとってよくないと言われていたので、私は黙って車に乗っていました。車の外ではまだ、「money,money」と言って裸足の小さな子が車を叩いていました。
 日本で出会ったこともないような経験をして、私は、明日も生きていられる保証がないというのは、どんなに恐ろしいだろうと考えました。この貧しさを前に、「私に何ができる?」と問うことすらこっけいなほど、観光気分で留学した私にとっては、余りに悲しく、余りに衝撃的な光景でした。
 私の学校はフィリピンに姉妹校が四校あります。
 フィリピンは四百年間、植民地になっていたことから、富裕層と貧困層という極端な二重構造になっていて、大半の人は貧しい暮らしをしています。私はフィリピンという国が抱えているそういった矛盾した現実を目のあたりにしました。
 私が長い間ホームステイをさせていただいたサンロレンゾの地区は、守られているように、町全体が壁に囲まれ、中に入っていくと豪華な家が建ち並んでいます。広い庭、沢山の車、数人のメイド・・・そこは何もかもが満ち足りた世界でした。それでも、上流階級の人が通うサンロレンゾ校の生徒達はお金のあることに決しておぼれていません。いつか国のトップに立って国を良くしようと毎日一生懸命勉強している背中を私は不思議な思いで見続けていました。自分の国の状況を理解し、自分達が裕福だからこそ、できることをしようとしています。自分の国のことを考えたこともなかった私は驚くばかりでした。マリバイにある別の姉妹校は、サンロレンゾとはうってかわったスラム街にあります。
◎「ユネスコと大阪の文化遺産」 
  最近、大阪の世界遺産について考えてみました。2001年現在、世界遺産の登録国数は124カ国、合計721件が登録されています。日本は、文化遺産9件、自然遺産2件の計11件です。近畿地方では法隆寺地域、姫路城、古都京都、古都奈良の各文化財の4件が登録されていますが、残念ながら大阪府にはありません。  2001年5月に、ユネスコによって「人類の口承及び無形遺産の傑作」が宣言され、日本の「能楽」を含む19の劇、儀礼、音楽、口承伝承等が選ばれました。今後も2年に1度宣言される予定で、「人形浄瑠璃文楽」と「歌舞伎」が暫定リストに載っています。 
「人形浄瑠璃文楽」は大阪が誇る伝統芸能であり、これが「傑作」として宣言されることで、私達の世界
遺産への関心が大いに高まることは間違いなく、大阪ユネスコ協会として、この伝統芸能を世界に向かって発信するための方法を今から研究したいと思います。
  大阪が誇る古代の遺跡群に、大阪湾の海岸沿いの低地帯に並んでいた「弥生時代の集落跡」があります。「池上曽根遺跡」はごく最近発掘されてやっと分かってきたばかりで、神話の中に長い信仰が生き残っています。私達はこの遺跡等に注目し、勉強会等を実施して理解を深め、近い将来ユネスコ世界遺産として登録されることを期待し、多彩な啓発活動を展開したいと思います。                                  
「日中友好青少年ユネスコの翼」に参加して 大阪府立松原高校2年 上田 葉子
2002年1月26日実施「平成13年度・高校生のスピーチコンテスト」の最優秀賞受賞作品。上田さんは副賞として北京派遣がプレゼントされた。

今回、『日中友好青少年ユネスコの翼』に参加させていただきました。今までにベトナムやタイ、韓国にもスタディーツアーなどで海外で過ごした経験がありましたが、どれも友達と一緒だったりで不安はありませんでした。だけど今回は友達もいなくて、とても緊張していました。が、日がたつにつれて、一緒に行ったみんなとも仲良くなり、楽しく色んな話が出来ました。 いろんな意味で、一番心に残っているのは、何といってもホームステイです。私のホストは任さんという19歳の女の子で、私とは年齢が近く、同性だったことから話題が合い、夜寝る前に自分の友達のことや好きな人のことを、写真やプリクラなど見せ合いながら話をしました。生まれた国や言葉が違っても、考えることや思うことは同じだと思うと、自然と気を張ることなく仲良くなれました。
ご飯を食べに行ったり、遊びに出かけたりする時に任さんと私ともう一人、黄雷くんという任さんの友達も一緒に行きました。黄雷くんも19歳で、とても日本語が上手、また日本の音楽も好きで、大学で日本語の勉強をしたいと言っていました。二人はとても優しくて、私がお腹が痛くて苦しんでいるのを見て、ガイドの方に連絡をとってくれたり、ホテルまで送ってくれ、ずっと私のことを気遣ってくれました。一番嬉しかったのが、パンダのぬいぐるみをプレゼントしてくれたことです。私はパンダを見るのを楽しみにしていたのに、お腹をこわして、結局パンダを見ることが出来なくなったので、残念でしようがありませんでした。そしたら二人が私の泊っているホテルに見舞いに来てくれて、パンダのぬいぐるみをプレゼントしてくれたのです。大感激でした。今回の旅行で、私は少し成長できたと思います。この経験を生かして、多くの事に挑戦したいと思っています。
事務局より
使用済み郵便切手ご提供を感謝します
・今回のご提供者(順不同、敬称略、氏名確認分のみ)
・兵庫県伊丹市市立北中学校2年グローバルタイム国際協力グループ(代表 中島嘉代)
・大阪市淀川区 庄司ハツエ、・堺市 村上トシ子、 ・大阪市立喜連東小学校 東山光弘、
・関西大学第一高等学校生徒会、・菱自用品販売(株)厚木業務本部業務部業務課、
・大阪市中央区 塚本弥栄子
使用済み切手でアジアに医療協力を
  ・当協会が 受け取った使用済み切手は、東京の日本キリスト教海外医療協力会へまとめて送られ、郵趣家や切手商の協力によってお金にかえ、この資金により同協力会がネパール、バングラデシュ、カンボジア、タイ、台湾など、アジアを中心とする医療に恵まれない地域に医師、看護師、保険士などを派遣、アジアの人々の健康作りに協力しています。
 当協会では使用済み切手を、お引き取りいたします。随時お送りください。

米国内の世論も賛否両論があるようだ。  これに対し世界各国にも多様な議論があるのは当然であるが、国連の決議を経て対応すべきという議論が多いようである。  それにしても開戦となれば、米国側の兵員に損傷がでるのは勿論であるが、それに倍する多数のイラク側の無辜の国民を殺傷することになる。これは何としても避けるべきである。イラク側に査察を受け入れさせるべく強硬に交渉して、何とか平和裡に解決することに全力を集中すべきであろう。  日本はヒロシマ、ナガサキで米国による原爆投下で二十数万の非戦闘員の尊い命を奪われたことを忘れることはできない
フィリピン−その未知 なる国で学んだこと   聖母被昇天学院高校2年 大家 真美 
平成14年度「国際理解・国際協力のための高校生のスピーチコンテスト」最優秀作品
大阪ユネスコ協会
会長 中馬弘毅

◎時事評論 イラクに対し軍事行動を起こすべきか
大阪ユネスコ協会名誉会長 山口博恭
  米国というよりブッシュ大統領が「悪の国」イラクに対し開戦すべしと度々発言しているが、これは単なるジェスチャーかも知れないが、米国内世論は賛否両論に分かれているようだ。 イラクというか、フセイン大統領といった方が良いかも知れないが、多量の大量殺人兵器を生産しているという。そしてその査察の受け入れには消極的であるという。また一説にはテログループ、アルカイダとも連絡があるといわれている。これは世界全体の安全を脅かすものであり、何とか対応解決せねばならぬのは勿論であるが、これをもって直ちに戦争に訴えるべきかどうかは一考を要する問題である。

その他 2003