平成25年度  
『 国際理解・国際協力のための高校生のスピーチコンテスト 』 

平成25年6月29日実施  大阪決勝大会最優秀賞作品
(主催大阪ユネスコ協会、大阪府教育委員会)

 多様化する国連のニーズと日本の役割について
「4世代の歴史を通じて思うこと」
被昇天学院高等学校1年 中越 采子さん
 ひいおばあちゃん・祖父母・両親・私と弟、4世代に渡る私の大事な家族です。私のひいおばあちゃんは対象生まれで今年90歳を迎えます。
 様々な歴史的事件や戦争を体験し、日本の復興や経済成長・発展、そして世界の移り変わりを体験してきました。歴史の教科書を、色つき映像で見ているかのような、ひいおばあちゃんの話を、いつも興味深く、そして損家の思いを持って、弟と一緒に聴き入っています。ひいおばあちゃんの日々の生活には、いつも笑顔が耐えません。
 しかし一方で私には、ある高齢者の方の忘れられない光景があります。親戚のお爺さんのお見舞いに、ある値王の病院へ行った時のことです。その病室には、他に三人の高齢者の患者さんたちがいらっしゃいました。私は病室にはいると、。患者さんたちが無表情にじった一転をみつめたまま、ベットに横になる姿に戸惑いを感じました。
 そこへ一人の看護婦さんが昼食の介助にやってきました。『山田さん、はい口開けて、ほら早く開けて。食べてくれなきゃ、私困るのよ。後の二人もいるからね、はら早く食べて、あ〜もうこぼさないで!』と、その高齢者の方々の口に、半ば強引に、次々とスプーンを運んでいくのです。料理の味や、食事の時間・会話を楽しむことなどなく、まるでながら作業のような、そして患者の尊厳を無視する看護士の対応に、私はいたたまれない思いがしました。親戚に聞くと、その高齢者の患者さん達はみな独り暮らしで、子供たちは都会で暮らしている為、めったに見舞いにこられない、または来ないのだという事でした。
 世界の状況において、驚くべきことに、80歳以上の人口は、現在、最も急速に増えている世代だそうです。また多くの国が豊かになり、医療技術が立ってん市死亡率も低下したことによって、世界人口の精勤寿命は今年、過去最高の70歳へと伸びました。もとろん、世界における平均寿命の地域格差の問題とその背景も無視することはできません。しかい『世界中で毎秒2人が60才の誕生日を迎えている』という現実、いまや高齢化は地球規模での深刻な課題となっているのです。  
 日本は世界的にも長寿国で、平均寿命が男女とも首位に立っています。今年の『敬老の日』に発表されたデータによると、日本における100歳以上の人口は、5万4千人を越える、そんな『長寿国日本』における、高齢者に対する現状は世界に誇れるものでしょうか?
 私が体験した身近な例だけではなく、日々の新聞やニュースを見ても、高齢者の孤立化による孤独死、社会制度への不安、自殺、高齢者間の格差、老人ホームでの虐待や人権侵害など、様々な問題が深刻化しています。急激な高齢化に伴い、そこに対する社会の仕組みや対応の遅れている、という言い訳ではすまないのではないでしょうか?現代の恵まれた私たちの暮らしの基礎を一生懸命に作り、守ってきてくださった高齢者の方々への、経緯や感謝の想いは軽視されています。これが『長寿国日本』の現状なのです。

 国連総会で1990年、高齢者の自立、参加、ケア、自己実現、尊厳、これら5つを基本原理とした『高齢者のための国連原則』が採択されました。それから二十数年、さらに高齢化が進む中、『長寿国日本』だからこそ世界に発信し支援できる、高齢者社会モデルを示すことが『日本の役割』なのです。そして私達若い世代が、高齢者に敬意を払い、共に参加できるコミュニティを作っていく、そんな社会への取り組みを示すことが重要だと私は考えます。
 人間だれもが必ず迎える高齢期を、尊厳をもって、性別、地域、人種や民族的背景、障害にかかわらず、公平に充実した生活を笑顔で迎えることができる、そんな社会モデルを世界に向けて発信し、支援できることが、『長寿国』の役割だと私は確信します。
 そのために今の私たちが出来る事は、まず小さな家族単位で、そして地域コミュニティ単位に働きかけ、取り組んで行くことだと思います。
 将来は私のひいおばあちゃんがいつでも笑顔でいる様に、世界の高齢者と園取り巻く環境に、たかうさんの笑顔が溢れるよう、世界に向け支援できる『日本』、そして自分自身でありたい、そう強く決意します。

大阪ユネスコ協会 役員    2013/4 現在  


会長     中馬 弘毅    前衆議院議員

副会長    山幡 一雄    元大阪市経済局長
        山田  忍     関西ピアノ専門音楽学校校長
        吉本 祥生    兵庫中央病院名誉院長      

理事     阿部 圭介    朝日新聞大阪本社編集局長
        橋本 佳也    大阪ガス(株)執行役員 総務部長
        崎本 利樹      日本放送協会大阪放送局長
        末岡 祥弘     (公益法人)大阪YMCA代表理事
        大川  均     大阪ユネスコ協会日本語教育研究委員
        楠見 晴重    関西大学学長 
        森   一貫    関西外国語大学教授
        林田 雅至    大阪大学教授   
        辻  祥光     アクトレップ(株)代表取締役社長    
        津江 明宏    今宮戎神社宮司
        神谷 安子    東成区更生保護女性会副会長
        東浦 栄一    関西大学ユネスコ研究部代表
        湯浅 良男    大阪ユネスコ協会技術情報アドバイザー
        中橋 正文(新) 大阪ユネスコ協会事務局長

常任理事  武田 暢樹    大阪ユネスコ協会前事務局長

監事     金村 義夫    大阪司法書士会監事

顧問     橋本  守    日本国際連合協会関西本部長
       河田 悌一    日本私学学校振興共催事業団理事長 

    
その他 2013

 教育にしても、イデオロギーや民族意識の高揚が対立を生み、科学技術や情報革命によってもたらされたインターネットの普及が大衆煽動での大抗争となり、さらに国境を超えた宗教紛争、無差別テロリズム等々、悲観的要素が広がってきているのも現実である。 ただ言えることは、国境、民族、宗教などを超えた、人と人との交流、絆の広がりが何よりも必要である。
ユネスコ運動の原点もそこにあることを認識して、私たちそれぞれの立場で地道な活動を続けて行くべきだと改めて思い直す次第である。
        (写真: 第1回小学生英語暗唱大会7月8日) 
                     大阪ユネスコ協会 会長 中馬 弘毅

世界恒久平和を願って展開されたユネスコ運動の前提条件が、半世紀余を経て大きく変わってきたと考えざるを得ない。 勿論、対立の原因としての貧困、無知、相互不信等を解消する手段としての教育の普及、科学技術の移転、文化の相互理解と尊重などの基本理念は変わらないとしても、大戦後とは客観情勢が異なる世界になってきたことも事実だ。
「これからのユネスコ運動」