昨年度の主な活動(2024.4~2025.3)
●ユネスコ防災講座
~能登半島地震被災者支援から防災を考える~
2025年2月1日(土)秋田県ゆとり生活創造センター遊学舎で、防災講座を実施しました。
2024年元旦に発生した地震により甚大な被害を被った能登半島、その被害状況と復興活動がどうなっているのか気になるところです。当協会理事で防災士の資格を持つ菊地格夫氏が、昨年7月16日~20日半島の先端部の能登町でボランティア活動に参加しましたので、活動内容と地震被害の状況を伺うと共に、災害を自分事と考えてどう備えるかを考える機会としました。
菊地氏の話しと映像からは、瓦屋根の重みで一階がつぶれた家々が連なり、また液状化現象も見られ、地震の激しさと復興の途の険しさが感じられました。現在はどうなっているのでしょうか。
私たちが同じような災害にあったらどう対応するか、会員で防災士の資格を持つ加藤智子氏を講師に、実習に入りました。最初に5人グループになって、ダンボールベットを組み立てました。慌ててダンボールをひしゃげさせて失敗したグループもありましたが、寝心地はまあまあでした。次に防災食の食べ方の実習です。お湯を注ぐだけで食べられる料理や、汚れものを少なくする工夫など、体験して初めてなるほどと思うことが多くありました。こういう実習を積み重ねて、いざという時すぐ役だてるようにする必要があるということ、日常的に災害に備えることの重要性を学びました。加藤氏の勢いのある進行で、楽しく有意義な講座となりました。

●ユネスコ世界寺子屋運動募金及び
書き損じはがき回収キャンペーン
2025年1月26日(日)秋田駅ぽぽろ~どで募金とはがき回収キャンペーンを行いました。ユネスコスクール秋田商業高校の生徒6名と聖霊高校の生徒25名、秋田ユネスコ会員7名でローテーションを組んで道行く人々に声を掛けました。昨今の年賀状離れを反映してはがきの回収は減っていますが、募金は高校生の元気な声で足を止めてくれる人が多くありました。この日は大寒の時期にしては穏やかなお天気で、大勢の高校生の熱気と相俟って、心温まる活動となりました。募金額、はがき回収枚数等は現在集計中です。
●第35回外国人による日本語スピーチコンテスト &
世界と語ろう!ユネスコタイム
11月17日(日)秋田県生涯学習センターで恒例のスピーチコンテストを実施しました。県内在住の外国出身の方々7カ国12名が日本語でスピーチしました。日本語に関すること、日本で生活して感じたこと、自国の文化などについて、スピーチされました。
審査の結果、最優秀賞(秋田県知事賞)にはマレーシア出身のアハマド ハイカル ビン アブドゥル アジズ氏の「憂鬱のこと(幸せ探し)」が選ばれました。4月に日本に来て、クラスメートに声をかけたが誰も対応してくれず悲しい思いをした、母親からは「自分の幸せを探してね」と言われていた、部活動に入るとメンバーが声をかけてくれて、幸せを感じるようになった、「人生は一度きり、悲しみの日々を過ごすのではなく、幸せに過ごしましょう」と話されました。身近な思いを素直に表現して共感をよび、最優秀賞に輝きました。優秀賞(秋田県教育長賞)のビャムバドロジ
ガントラガ氏はモンゴル出身、「見えるものを越えて:文化の深みを導く文学」という題で、文学の価値について話されました。優秀賞(秋田市長賞)のセルビナ
アリーナ氏はウクライナ出身、「失敗への恐怖を克服することの大切さ」と題して、ウクライナでは生命を失うかもしれないという恐怖があるが、レジリエンスを高め恐れを力に変えることが大切、あなたは一人ではない、あなたを支える人がいる、と迫るように話されました。
スピーチコンテストの発表一覧
賞 |
スポンサー |
名 前
出身国 所属 |
テーマ |
最優秀賞 |
秋田県知事 |
アハマド ハイカル ビン アブドゥル アジズ
マレーシア 秋田工業高専
|
憂鬱のこと(幸せ探し) |
優秀賞 |
秋田市長 |
セルビナ アリーナ
ウクライナ 秋田大学 |
失敗への恐怖を克服することの大切さ |
優秀賞 |
秋田県教育長 |
ビャムバドロジ ガントラガ
モンゴル 秋田大学 |
見えるものを越えて:文化の深みを導く文学 |
奨励賞 |
(株)秋田銀行 |
バン ティ フォン リン
ベトナム 秋田日本語学院 |
日本の生活について |
〃 |
(株)秋田魁新報社 |
ファン トゥイ ヴァン
ベトナム 秋田日本語学院 |
自然災害について |
〃 |
秋田ゾンタクラブ |
バトサイハン エンフジン
モンゴル 秋田大学 |
複眼思考の重要性 |
〃 |
国際ソロプチミスト秋田 |
ネルグイ ナムーン
モンゴル 秋田工業高専 |
私の町を元気にするために |
〃 |
秋田県日中友好協会女性委員会 |
リ ガクジュ
中国 秋田大学 |
秋田で出会った優しさと温かさ |
〃 |
秋田日米協会 |
ガシディス ハッサミ
タイ 秋田工業高専 |
文化と言語がつなぐ日本と世界 |
〃 |
秋田日独協会 |
ホ ア チュー
ベトナム 秋田日本語学院 |
ベトナムの文化 |
〃 |
青年海外協力隊秋田県OB会 |
リン ナイン ソー
ミャンマー 秋田日本語学院 |
気持ちの変化 |
〃 |
NPO法人バニヤンツリー |
キン ミョー セット
ミャンマー 秋田日本語学院 |
日本で生活してみてわかったこと |

最優秀賞のハイカルさん スピーカーと審査員で記念写真
2部「世界と語ろう! ユネスコタイム」では、スピーカーと会場の参加者たちが、あなたが思うしあわせとは? をテーマにワークショップを行いました。1チーム5~6人で思いを出し合い、全体で6チームが順次発表しました。

●ユネスコSDGsユースセミナー
高校生がとりくむ持続可能な社会づくり
11月9日(土)にぎわい交流館AUでユースセミナーを開催した。ユネスコスクール秋田市立秋田商業高校の生徒を中心に、聖霊高校、中央高校、横手城南高校、大舘国際情報学院などの高校生に加えて、国際教養大学の学生も3名参加した。
1部は南米のコロンビアとネットで結んで「コロンビア共和国の現状を知り問題解決に向けて考えてみよう」をテーマに講話とワークショップを行った。最初に秋田県職員で現在JICA海外協力隊隊員としてコロンビアで活動する三井貴博氏が現在取り組んでいる環境教育について話された。三井氏が課題として捉えているのが、ごみ問題の解決と緑化の推進。三井氏は授業を通して、児童生徒のごみのポイ捨てを減らし、校内の緑化を進める、そしてこのとりくみを定着させて、学校全体の行動変容につなげていきたいと考えている。この問題解決のためにはどうしたら良いか、皆で考えて欲しいと三井氏から問題が提起された。これをうけて、生徒たちはグループ毎に話し合い、解決策を進言した。ゴミ箱の工夫やリサイクルの話しなどが出され、コロンビアと秋田を結ぶ楽しいワークショップとなった。
2部は秋田商業高校生による問題提起に取り組むワークショップ。テーマは母子家庭の高校生が貧困のため食事や勉学が思うようにできない、その解決策を考えようというもの。身近な問題だけに皆活発に話し合って、グループとしての課題解決策をまとめていた。先生の許可を得てアルバイトをする、カウンセリング体制を構築するなど、なかなかレベルの高い現実的な提案があった。秋田商業高校生の周到な準備により、スムーズに進行することができた。
今回のセミナーは、地域の課題について参加者一人ひとりが考え、議論し、発表する、という中身の濃い内容で、この経験は今後の活動に活かされることを期待している。

●平和の鐘を鳴らそう!
8月15日(木)千秋公園「時鐘」で「平和の鐘を鳴らそう」を実施した。11時10分過ぎ、ユネスコ会員やこの活動に賛同する人11人が集合。この日は79回目の終戦記念日、もう戦争はしない、平和な世界をひろげていきたいという皆の思いと裏腹に、世界には大きな戦争が起こっている。国家の利害の前に、個人の力の弱さを痛感させられている。
しかしユネスコの憲章前文の「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」が世界のすべての人のバイブルとなり、平和を希求する人が多くなるなら、世界は変わっていくのではないだろうか。そんな思いから、皆で平和のために大切なこと、平和のためにできることなどについて話し合った。
続いて12時に全員で黙祷、その後一人づつ鐘をついて平和を祈った。昨年は鐘楼修理のため実施できなかったが、今年は綺麗に幾分広くなった時鐘で活動することができた。

● ユネスコ国際理解講演会 「外国人受け入れと地方からの視点」
4月21日(日)総会に先だって13:30からユネスコ国際理解講演会を開催した。講師は国際教養大学国際教養学部 グローバル・スタディズ領域 准教授堀井里子氏。「外国人受け入れと地方からの視点」をテーマに講演された。
最初に外国人受け入れについて、戦後からこれまでの歴史をふりかえった。1990年代以降労働力不足を背景に、全国的に在留外国人、外国人労働者数ともに急激に増加している。では秋田県の状況はどうか。大都市とは異なる状況を呈しており、2023年末5,213人と全国最少である。外国人材の必要性は認識されているが、どのように受け入れていくか、共生社会の実現に向けて対策を練っていく必要がある。
ここで「2045年・共に生きる秋田」を目指してをテーマに、グループで話し合うエクササイズに入った。4人位をグループにして、20年後の秋田で外国人受入れという観点から、良い点、問題点、どんな対策が必要かなどについて話し合った。各グループの話し合いの結果を発表したが、コミュニケーション、互いの学び合い、地域とのつながり、教育など、現実に即した提案が述べられた。今回は高校生が約15人参加しており、実に活発に議論していたのが印象的だった。
講師と参加者とが相互に一体に考え交流する実り多い講演会であった。
●2024年度通常総会
総会は4月21日(日)3時から、国際理解講演会に続いて秋田県生涯学習センターで開催された。
小林会長は開会のあいさつで、昨年の東北ブロック・ユネスコ活動研究会秋田大会では、会員全員で協力して無事終了でき感謝していると述べた。続いて、御来賓の県生涯学習課の古屋課長がごあいさつされた。先程の国際理解講演会に参加したが、高校生が課題を自分事として考えており、これは大変大事なことだと思う。また日本は災害が多いし、国際的には軍事的緊張があり安心して生活できる状況にないが、ユネスコの普遍的な価値を守りすすめる活動を進めていって欲しいと述べられた。
次に菅原顧問を議長に選出し議事に入った。2023年度事業、決算報告並びに会計監査報告、2024年度事業、予算について審議し、原案通り可決された。今年は役員改選に当たっており、事務局から新役員について提案があり、審議の上可決された。その後新役員それぞれから抱負が述べられ、期待が膨らむ総会となった。研究の都合で会長を辞退した小林氏に、4年間に亘る多大なご貢献に会員一同感謝を延べ、総会を終えた。
新役員
会長 |
藤本恵子(新任) |
副会長 |
加賀谷ユウ子 佐藤 久(新任) |
理事 |
カビール・ムハムドゥル 岸部ハマ子(新任) 柳生良子
菊地格夫(新任) 平尾織花 |
事務局長 |
カビール・ムハムドゥル(新任) |
監事 |
寺田洋子 小松弘子(新任) |
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