ユネスコサロン

パリの日本人

フランス日本人会会長  浦田良一氏をお迎えしました

「パリのアメリカ人」は、ニューヨーク生れのアメリカ人作曲家が1928年にパリを訪れ、ユネスコサロンその印象を音曲と映像で表現したものです。 1月11日若宮大路カルチャースペース鎌倉に40余名が集い、多くの質疑応答もあり大盛況。 自分にも成功するチャンスのある仕事をさせてくれる会社への就職を目指した。日立は非関西系で、商社経由だった貿易を直貿に切り替えるため、人材を求めておりチャンスは自分にもあると思いました。日立が51%の資本を所持する現地販社を設立しパートナーとはうまくいった。“君がフランスを去ったら、俺もやめる”とまで言ってくれ、20年間一緒に仕事をしました。

我々はサラセン人にあらず

フランスは自国産業を護る為、強い保護政策をとっている。国内で生産されていない商品は保護対象外でしたが、厳しい対日輸入規制政策を実施し、輸入数量設定を行い、さらに1983年にはビデオの輸入通関地を内陸部のポァティエに移しました。日本でいうならば、横浜に入ったものを、飛騨の高山まで運ばせて通関業務を行うようなもので、完全な嫌がらせでした。ポァティエは8世紀初め当時のフランコ王国が野蛮人であるペルシャ・アラブ系サラセン軍を迎えうち撃退した歴史的な地です。私はポァティエの名を使って、フランス政府に抗議する目的で“我々はサラセン人にあらず”との意見広告をル・モンド紙他6紙にのせました。非常に大きな反響がありました。本社とは一切相談しませんでした。パートナーから“いいのか”と言われ一瞬ハッとしましたが、それをやったら、やりたいことがやれない。 幸い経産省の役人から偶々省内にいた日立の人に“日立さん、ものすごい面白いことをやってくれましたね”というコメントが伝えられたこともあって、日本側の反響も官民・メディア共に好意的でした。 私に言わせれば、ユネスコサロン問題の根本は日仏間の貿易不均衡であり、日本が相手国の事を考えないで、電子機器の問題は当該品目だけの政策で解決しようという縦割り主義に固執し、フランスが最も歓迎したであろうコニャック等の酒税引き下げは考慮されなかったのです。

フランスの日本人社会は様変わり

日立を退社した後、日本の化粧品メーカーの現地法人設立に関わり、5年間全く違う仕事を経験し、2005年からは在仏日本人会会長を務めています。 現在30代で責任者として海外勤務に就く人はあり得ない。家族同伴も少ない。海外在住の日本人は高齢化している。仏国籍を持つ非フランス人と結婚する日本女性も増えてきて、日仏カップルは年300組に増えた。子供が出来たのち離婚したり、トラブって別れるケースも増えてきている。 私は長女、次女ともに日本人小中学校に通わせた。長くいるとは思わなかったので、帰国後子供たちが困らないということを強く考えた。今、パリでは日本人駐在員家庭でも、日本人学校に通学させない人が増えてきている。現地校に通わせながらも子供に日本語を忘れさせたくないので、日本語補習校への要望は強い。2015年9月末、初めて全欧州日本語補習授業連絡会議を開催し、主催地の役割を果たした。80歳近くなって、パリで日本語補習校の校長をやるとは思わなかった。若返る生き方だと思う。2回目の39歳を今年はじめる。年輪を刻んだ価値を大事にし誇りに思う。それを若い人に伝えたい。

フランス人の日本人観に変化

一般のフランス人が日本に興味を持つようになった。マンガから得た知識がベースになっている。来日する人が増えている。ラーメン人気は満腹感対値段への評価。スーパーのレジの女の子が日本に行って、日本人の親切さ、清潔さに好印象を持って帰国する。日本人への憧れにまでなっている。日本人にとってフランスはさらに住みやすくなってきた。ベトナム人と間違われることもなくなった。

混血のフランス人は全人口の4/5

フランスは国籍については、出生地主義を取っている。何代にもわたって、両親共にフランス人という人は1/5しかいない。富がかたよっている。貧しい人たちが教育を受ける場、仕事の場がもっとあればよいと思う。差別はある。“自由・平等・博愛”が、その通りでないからスローガンになっているといえる。

ISは20世紀が残したツケ

ISからはテロ攻撃の予告はあった。銃砲の制限ぐらいしか防ぐ手立てはない。フランスには年次が変わると人々が街に繰り出す風習がある。2012年/13年の変わり目には1万2千台の車が焼き討ちにあった。2015/16は、11月13日の同時多発テロ直後の監視下でも8千6百台が焼かれた。ISは20世紀が残したツケともいえる。資本主義の奢りが招いた世界的な規模の富の格差、先進国の責任といってもよい。 日本男性には海外指向力が無く、女性にはある。日本は国として、女性パワーを使っていない。女性がパワーを発揮できる国は生き残れる。女性を大事にする国は確実に子供たちをも大事にする。と述べられた。     (渡部)

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