スタディーツアーinネパール

2004年3月6日~3月19日実施

1.報告

鎌倉ユネスコでは数年前からネパールの寺子屋運動に日本ユネスコ協会連盟を通じて支援金を寄託してきました。そのたびにスタディツアーを企画しようとの話がでていましたが、今年やっと実現することができました。ルンビニの寺子屋
ネパールの識字教育プロジェクトは今年は3年目の年になります。丁度ルンビニのルパンデヒ地区のマドバニ村に寺子屋が完成し、その開所式に合わせ日程を組みました。この寺子屋は丁度1年前に名古屋ユネスコ協会が地鎮祭に参加したところで、何かの因縁を感じるところです。
団員は総勢20名、全員鎌倉ユネスコ会員で構成され和気あいあいの楽しい有意義な旅になりました。

ネパール寺子屋委員会 T.M.サキヤ氏の活動

今回我々はカトマンズのネパール寺子屋運動委員会事務所、ルンビニのプロジェクト事務所、テヌワ村の来年完成する寺子屋の地鎮祭、クダバガ村の寺子屋建設現場と野菜農場、養蜂場、マドバニ村の寺子屋開所式、クダバガ村のOSP(Out of School Chil-dren Program、学校に行けない子供達の教室)テヌワ地区の成人識字教室と鯉の養殖池、等を訪問しました。 ネパール寺子屋運動委員会事務所では所長のサキヤ氏より現地の寺子屋運動の説明を聞きましたが、システマティックに運動が展開されている様子がわかりました。実にサキヤ氏のお人柄と情熱の賜物と感じ、現場の状況を見るにつけ、その感を深くしました。

教育現場での輝く目、目。

最初に訪問したクダガバ村のOSPでは窓が一箇所しかない暗い部屋のシートを敷いただけの土間に40人ぐらいの子供や女性が膝突き合わせて勉強する様子に驚き、カルチャーショックでした。しかし彼女らの目の輝きと先生の情熱的な姿が救いでした。 地鎮祭、開所式では地元の人たちが数百人集まりお祭りの様相でしたが、皆さんのよろこんでいる姿が印象的でした。寺子屋はレンガ造りの立派な建物で、構造は規格化され何処も同じになっているとの事。

前述のOSPと比較しここで学べる子供達の幸せは計り知れないと感じました。また生活を豊かにするための農業技術、養蜂、養鯉などの教育が行なわれている現地を見学しましたが皆さん自信を持って取り組んでいる姿が印象的でした。

交歓会の盛上がり

地元の皆様との交歓会では沢山の方々が出席してくださり、お互いに喜びを語り合い、ネパールの歌、日本の歌に合わせて踊りの輪が広がる盛上がりで、心を開き合う場になりました。 交歓会

皆様に感謝

我々鎌倉ユネスコの支援はほんの小さな石を投げただけですが、その波紋は確実に大きく広がり皆様のお役に立っている事を実感しました。しかしこれも日本ユネスコ協会連盟、ネパール寺子屋運動委員会、プロジェクトを支援していただいた皆様のご協力と地元の方々の努力があってこそであり、皆様との連携の重要性を感じました。そして、このツアーで得られた事は次の活動のエネルギーの源と確信します。 このツアーには準備段階から現地の段取りまで日ユ協連事務局のファイン荒井千香子さんにお世話になり、日ユ協連および鎌倉市からは後援と助成金を頂きました。また、在ネパール日本大使館鳥取書記官のご協力と鎌倉高徳院様を初め多くの方々からご寄付を頂戴いたしました。衷心より御礼申し上げます。

スケジュール

3月6日成田発、バンコク泊・3月7日バンコク発カトマンズ着後CLC事務所訪問・3月8日カトマンズ発バイラワ経由ルンビニへ。世界遺産仏陀の生誕地見学、CLC事務所訪問・3月9日ルンビニ周辺識字教室、養魚場訪問、CLC地鎮祭、開校式参加。夜ホテルにて交歓会・3月10日CLC建築現場、OSP、野菜農場、養蜂場視察。ルンビニよりカトマンズに戻る。カトマンズ世界遺産見学鎌ユスタディーツアー

3月11日カトマンズ発シャンボチェホテルエベレストビューへ・3月12日トレッキング、休養・3月13日カトマンズへ戻る・3月14日A班帰国の途へ・3月15日~3月18日B班チトワン滞在の後帰国へ・3月19日帰国。

2.参加メンバーの感想から

「支援しながら学ぶ」、これがスタディツアーの真髄だろう。今回の鎌倉ユネスコの「ネパールスタディツアー」はこの観点からは、参加メンバーの一人として大きな成果があったように思う。ルンビニを取り巻く自然のたたずまいは、一見人々の豊かな生活を約束しているかにみえる。しかし、現実はネパールの歴史的、社会的事情からそこに住む人々の生活はあまりにも貧しい。 そんな貧困地帯の、学校へ行けない子供たちの為の識字教室や、成人の為の識字教室で学ぶ子供や女性たちの目の輝きには、メンバー全員強い印象を受けた。そして、識字教室を地元で支える村人の目が温かいことにも。 学びの内容は、読み、書き、そろばん(計算)ながら、照明も無い素彫りの明り取り窓一つの納屋の、土間のゴザに座っての学びの姿にカルチャーショックの声も。けれどメンバーは、学ぶ意欲とそれを支える共同体の基盤が「学び」の原点だということを支援先で学びんだ。人は誰でも学びたい、「Education For All」、身のまわりからのささやかな支援も価値があることを改めて認識しました。 以下は、今回の「スタディツアーレポート」に寄せられた参加者のルンビニについての感想からの抜粋です。 (順不同)

宗教の共存は、今日の世界を思う時印象的でした。ルンビニに学ぶ子供達の目の輝きと花輪で迎えてくれた人々の歓迎が目に浮かびます。( 藤田 真)

私のユネスコ活動の原点であるサキヤさんに再会できた。今後とも私のユネスコ活動の柱である識字の夢をサキヤさんに託したい。( 山田 雅子)

マドバニの寺子屋は立派な建物で私達のバザーのお金が少し役にたっているのだと思い、嬉しくなりました。EMを使って作物を作っているのにも驚きました。 (久保 ツユ子 )
ユネスコの「先ず人ありき」という「人間の自立をうながす」援助の基本を大切に実践している姿に感銘したのが最大の収穫でした。 (本岡 俊郎)

日本のユネスコが進めているCLC建設支援は、草の根支援として有意義だと理解した。村人の自立を促す草の根支援の将来を確信した。(木村 五郎)

普段何もかも整っている環境で過している私にとっては人生観を変えるくらいの体験となりました。除幕式に参加し村人の笑顔を見た瞬間、学ぶということがこんなにも喜ばれるのだと感じ胸が熱くなりました。(高橋 果耶)

牛、水牛、山羊、鶏、犬、豊かではない人々。でも、識字教室の女性たち、寺子屋の子供たちは、いきいき。農場の持ち主は、誇らしげに、足踏みポンプや野菜を見せてくれる。支援への確かな答えを感じ感動する。(穂積 祐子)

寺子屋運動で少しでも多くの人達に勉学への道が開け、釈迦誕生の地に相応しい平和で豊かな生活と社会が一日も早く築かれることを願う。(岩本 紀代子)

帰国して半月たった今も、私はルンビニの子供達にくしゃくしゃの笑顔で応え、花を受け取り続けています。いい旅でした。いろいろ学ばせて頂きました。僅かずつでも識字教育の畑に撒かれる水になれたらと思っています。(永見 俊子)

粗末な施設・教材で熱心に勉強する子供達の輝いた瞳、“ナマスティ”元気で明るい声で自製のレイで歓迎してくれた多くの子供達のはにかみと好奇な瞳が忘れられない。 (小林 恭介)

多くの日本人が懐かしさを覚える国ネパール。そこに住む人々の幸せを心から願わずにはいられない。(諏訪 光代)

ネパールには何と言っても世界一のエベレストがある。ルンビニの寺子屋のあの子らは世界に誇るこの山が自分の国のものだということを知っていたのだろうか。(岡野 周子)

釈迦生誕 巡礼の僧 水ぬるむ 春を待つ 児の手のひらに 識字かな(山田 稔)

何の事故も無く全員無事帰国、ほっとしました。ルンビニの寺子屋を見たとき我々との違いにカルチャーショック、でも働き者の女性たちときらきら輝く目をした子供達を見て明るい未来を感じました。(山田 ミヤ子)

国際公務員として30年間、ユネスコの識字教育に専念したサキヤさんが今、母国に帰り、辺地の底辺の人々の識字と自立のために寺子屋運動のタネを蒔いている。その温厚な人柄に、ツアーの一同も感銘し、心を寄せた。(尾花珠樹)

鎌倉ユネスコ協会の皆さんは事前準備が周到で、記念品贈呈、スピーチ、記録など20名が分担し、すばらしいチームワークだった。(日ユ協連事務局 ファイン荒井 千賀子)

3.余話

奨学金と井戸掘り資金30万円の贈呈式

今回のネパール訪問にあたり、鎌倉ユネスコ協会は日頃のバザーで積立ててきた支援準備金から10万バップくん円、佐藤美智子副会長から「ルンビニは当院と格別のご縁がありますので」とお預かりした高徳院からの寺子屋への御寄付20万円を持参した。日ユ協連や、現地の責任者T.M.サキヤ氏と相談の結果、10万円を貧困ゆえに学校にこられない子どもたちの奨学金に、20万円でルンビニの人びと、特に子らが切望している飲用井戸5基を掘るプロジェクトに着手することになり、その贈呈式が初日に行なわれた。

奨学金を受ける11歳のバップ君はその歓びを「僕はホームレスの子。家族に字を読める者は1人もいない。今まではヘビやネズミをとって家計を助けてきたけど、字を憶え、将来はコミュニティの手本になりたい。私たちは決してあなたがたを忘れません」と奨学金贈呈式で自作の作文を読上げた。
澄んだ飲み水がコンコンと湧き出る井戸を囲んで子らが歓喜の声を挙げる日も近い。

貯金目標も地域で差。男たちからどう匿すかに工夫と

読み書きを修得した婦人識字教室の女性たちは自立をめざして土地柄に合った収入努力に励んでいた。ルンビニ仏教園近くの養蜂グループの生産品をツアー一行は「あるだけ全部」60瓶ほど買い上げた。団員が分け持って慎 重に運んだが、瓶の蓋がヤワなため苦労。それでもこの純正ハチミツ、バザーを待つまでもなく完売。養蜂グループの女性たち

ここの女性たちの貯金目標額は1週間に10ルピー(160円)。一方、ここから数キロ離れた純農村地帯クダバガ地区の女性たちは野菜栽培に夫たちと励んでいた。

でも彼女たちの貯金目標額は1ヶ月に10ルピー。10ルピーと言えば首都カトマンズあたりのホテルの毎朝の枕銭。「それも、男たちに酒やバクチに使われないよう、匿しておくのが大変」と。なお、この地区ではNGO指導のもとにEM菌を家畜の糞にかけその上にワラをのせて堆肥を作り、生産向上をめざしていた。

エベレストを眼前に至福のとき

公式訪問7ヶ所というハードスケジュールを終えた一行は、小型飛行機とヘリコプターを乗り継ぎ、念願の“ホテル・エベレスト・ビュー”へ。

標高3880m、エベレストを眼前に臨むこの地に宮原巍社長がホテルを建てたのは1972年。シェルパの文化を守りながらの経営方針が随所に生きていて清々しい。2泊3日の滞在中、お天気にも恵まれ、トレッキングに出掛ける組、ホテルのテラスからヒマラヤ山系の峰々を仰ぐ組と、それぞれが最高のときを過した。エベレストの眺め

虎が出た、コングラチュレーション

世界で最初にエコツアーを始めた世界遺産チトワン国立公園を訪ねた面々2回目のエレファント・サファリで遂に野生のトラに出会う。さすがの迫力。誰もカメラを構える余裕はなかったけれど、ホテルに戻ると“コングラチュレーション!”と祝福の嵐。

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