ユネスコサロン
「フードバンクと日本の貧困」

サロンは11月6日午後カトリック雪ノ下教会レベックホールで開催された。出席者34名。講師の本岡理事
講師は本岡俊郎理事、京大で農業経済学を学び日本有数の食品会社味の素に入社。現在は「セカンドハーベスト名古屋」の実務運営者。ここは「フードバンク(食糧銀行)」(以下FBと略す)として賞味期限内の食品を企業から貰い受けて、社会的弱者を支援し、「セカンドハーベスト」(二度目の収穫)を行うNPO法人です。

FBに食品を寄付してくれる企業は@食品メーカーA食品卸売業者・食品輸入業者B青果卸売市場。FBが食品を配る対象は@社会福祉施設A日本人失業者・ホームレス支援団体B外国人生活支援団体。

FBは1967年米国で誕生。日本の出発点は「もったいない精神」、旗振り役は2000年FB日本を設立したチャールズ・マクジルトン氏。現在全国で30以上のFBが活躍中。推定扱い量は昨年度1000トン強。日本の食糧廃棄の現状は衝撃的。総量1900万トン。1000万トンは堆肥・飼料に。900万トンは品質上全く問題がないもの。
日本人の賞味期限への過剰反応のせいか、スーパーマーケットは「3分の1ルール」という仕入れ方式を採用している事を指摘された。製造後4ヶ月(1年の3分の1)を過ぎた食品は仕入れない暗黙のルールとなっている。

「セカンドハーベスト名古屋」の活動範囲は愛知・岐阜・三重と静岡の浜松地区で、日本在住の中南米人の50%、フィリピン人の25%、中国人の26%が、景気後退後、帰国できず同じ居住地に仲間と共に集住している。

食品を寄付してくれる大企業側の問題は適切な経費処理がむずかしい事。逆に中小規模の会社は協力的な場合が多い。とにかくFBの趣旨と実態を知って貰い、地道に信頼関係を築いていくしかない。

日本ではスラム街など「面」で見える貧困はない。集合住宅の何階の何号室の「点」としてある。
行政からの生活保護は確実に受けられる。名古屋市の例では、60歳単身所帯で月11万円程度支給される。問題は孤独な困窮者が多く、この絶縁社会に起因する「こころの貧困」を救う事。FBにできる事は食品の提供を通じて交流の場をつくる事。

最後にマザー・テレサの言葉“豊かな国で貧困と闘うことは貧しい国で貧困と闘うことよりもはるかに困難”で結んだ。(渡部)

 
 

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