ユネスコサロン
これからの人づくり・まちづくり

1月23日、高徳院客殿にてNPO法人鎌倉てらこや理事長池田雅之早稲田大学教授よりお話を伺った。出席者60名。

「てらこや」の基本ヴィジョン
「鎌倉てらこや」は、複眼の教育・感動体験・よき人との出会いを掲げ、空間的(家庭・学校・地域)にも世代的(子供・若者・大人)にも境界線を越えた共同体の創出を目指し、地域教育の再興を目指している。具体的には、朗読会、陶芸、里山での自然体験、寺院にての合宿などを通して子供たちが感動し明日に繋げていける何かを自分で実感できる場・機会を共同体を通して提供している。

「てらこや」の意味と変遷
「てらこや」というネーミングからもわかるように、日本にかつて存在していた共同体における子育てを、21世紀型成熟社会のモデルづくりとして実践されている点は興味深かった。なぜならば、我が国において共同体=「村社会」は西洋個人主義との比較において明治維新以降、閉鎖性・因習性などの否定的な側面をもって語られることが多いからである。

「てらこや」の新しい役割
しかし現代における、てらこや運動がめざす共同体は、空間的・時間的に垣根を取り払う開かれた外向きの運動であり、現代の閉塞感をつきやぶろうとするパワーを感じる。
日本の共同体が元来持つ人とのつながり・調和を開放的な力に変え、教育を通し子供のみならず若者・大人たちも、つまり共同体、地域全体として成長していける、てらこやの運動は日本ならではのNPOの形と言えるかもしれない。
またこの活動の支柱の一つとして、前世紀には科学の陰に隠れがちであった宗教の持つ公共性や精神性が再重視されている点も21世紀の活動としてユニークな特徴の一つと言えよう。  (渡辺 彩)

 
 

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