寄稿

偶然過ぎる邂逅。ボリビア、アルゼンチンの僻地で。

昨年12月から1ヶ月半かけて夏本番のペルー、ボリビア、アルゼンチンを歩いてきた。ペルーは北から南まで様々な遺跡を訪ね、ボリビアではどうしてもウユニ湖を見たかったのだ。

アルゼンチンはタンゴに惹かれての旅。列車やバス、飛行機を乗り継ぐ南北の縦断旅行だ。やはり思ったとおりハプニングの連続だった。飛行機でラパスからウユニに着いても、出迎えの旅行会社のガイドがいない。

1時間以上待ちくたびれてタクシーで旅行会社に出向くと、「お前さんの料金は安過ぎて出迎えはできなかった。」とぬかす。他にも決めた条件と違うこと多く、結局泣き寝入りをしてしまった。ウユニ塩湖、四国の半分ほどの広さだ

その夜、ウユニからアルゼンチンの国境の町、ヴィジャンソンに列車でいくのだ。だが、2時間遅れ、3時間遅れの情報が届き、結局4時間遅れで列車が入ってきた。ウユニは標高4,000メートル近い高地のため夜は寒く、ガタガタ震えながら待合室で到着を待った。

そこにスイスから来たという二人連れの娘さんがいた。とてもチャーミングでこちらに話しかけてくる。一人はソフィー、もう一人はアマタといっていた。ソフィーは片言の英語、アマタは片言のスペイン語を話す。こちらもあまり上手ではないが、何とか意思疎通して冗談を言いながら長い時をしばし忘れた。聞いてみるとフランスに近いビエンネ市のローレックスに勤め、給料は殆ど旅行に消えてしまう。今回もひと月ほど南米を回り、予定を立てず行き当たりばったりの旅行だと語る。チリのサンチャゴからペルー、ボリビアに入り、ウユニからアルゼンチンに抜けて、イグアスの滝からブエノスアイレスに入る。そのあとチリから帰国だそうだ。そして4時間遅れの列車に乗って、別々の箱で「アディオース!」を言って別れたものだ。

列車の4時間遅れはその後も痕を引き、アルゼンチン国境からサルタという町までの長距離バスにも乗り遅れた。なんとか時間を稼ぐため列車を途中で降りてタクシーを飛ばして国境に向かった。

また国境ではボリビアからの出稼ぎの長蛇の列に出くわして2時間もかかるようだ。出国管理官に頼み込んでなんとか1時間ほど稼いだがラ・キアカという町から既にバスはでてしまい、次のバスは3時間後だった。ようやく夕方出発のバスに乗り込んだ。だが途中でカービン銃をもった数人の武装警察官が2度もバスを止めて乗り込んできた。全員の荷物検査をやるのだ。貴重な時間がどんどん過ぎてしまう。ようやくサルタのターミナルに着いたのは深夜の2時だった。

ホテルに向かうタクシーを待っていると「ヒローッシー!!」と大きな声が飛び込んできた。見るとアマタとソフィー。どうやら別のバスだったようだが、到着はほぼ同時だった。ホテルも取ってない。サルタ市内のレストランにてどうしようかと相談していたところらしい。では一緒にタクシーに乗って自分のホテルに行こうと誘った。

幸い部屋が空いていたので3人で顔を見合わせて喜んだ。若い娘がいい度胸をしているものだ。サルタでは3日ほど一緒に滞在し、大晦日ではレストランでカウントダウンに出くわすなど愉快な年末を経験した。傑作なのはレストランが大混雑のためメインの料理が来ない。アマタがアタマにきてオーナーと交渉してほんの少しの値段でワインやオードブルをたらふく食べ、ダンスやフォルクローレを満喫できた。店をでると早速隣のバルに入って、またワインで大きな声で「チンチン!!」(乾杯!!)をやるのだ。若い娘が大声で「チン・チン!!」と声を張り上げる様子には思わず噴出してしまう。

その後、別れを告げて自分は飛行機でブエノスアイレスへ、彼女たちはバスでイグアスの滝に向かった。もう会うことはないなと思っていた。ブエノスアイレスではタンゴ巡りやダンスのレッスンなどで忙しく、8日間もあっという間に過ぎてしまう。タンゴの練習に励んでいるとまた「ヒロッシー!!」という声が聞こえてきた。

逆光で見づらかったが紛れもない彼女たち。どうしてここが分ったのかと問うと、サンテルモのホテルに泊まり、ダンスを習うと聞いていたので、多分ここかと思い入ってきたと話す。3度目の出会いであった。すっかり嬉しくなってしまい、早めの夕食に向かった。こちらもびっくりなら二人娘もびっくりだ。それから3日間、ブエノスアイレスの近郊のティグレという水郷やコリエンテス大通のそぞろ歩き、市内ツアーを楽しむことができた。

いつもだが、タクシー料金を払う段になるとサッとペソ札を運転手に差しだして払ってしまう。どうしてかと尋ねるとセニョールは年金生活者だからという。つい苦笑いしてしまう。最後の晩は高級ステーキハウスに二人を招待して豪華な食事をした。あの400グラムのフィレミニオンは美味かったなぁ。 (千葉 紘)

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