機関誌「ユネスコ」 2020年4月号

By youth, with youth, For youth
特集 若者のSDGs達成に向けて

SDGsってなに?

SDGsロゴ

Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。2015年、国連加盟国の全会一致で採択された。貧困や飢餓、教育、ジェンダー、環境、気候変動など、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットを設定。各国政府だけでなく、企業やNGO、市民社会、そして世界中の人びとが一体となって取り組む必要がある。日本ユネスコ協会連盟では、目標4「質の高い教育を皆に」を重点ゴールとして、「教育を通じたESDの推進=平和な世界への貢献」を目指している。

九州地区の青年会員が連携した九州ユネスコリーダーシップセミナー 九州地区の青年会員が連携した九州ユネスコリーダーシップセミナー

いま求められるのは、若者の参画

世界の若者(10~24歳)人口は史上最多の18億人となりました。社会において若者の存在感や貢献度が高まる一方、若者の90%近くは開発途上国や紛争地域に暮らしており、命の危険や人権侵害にさらされる若者も多数存在しています。こうした現状を受け、国連は2018年に国際ユース戦略「ユース2030」(YOUTH 2030 Working with and for young people)を発表しました。これは「若者のアイデアをアクションに移す」ことへの支援表明。持続可能な開発目標(SDGs)においても、若者の力が不可欠であると明言しています。

UNESCOでも、「UNESCOユース戦略2014-2021(UNESCO Operational Strategy on Youth 2014-2021)」のなかで、若者は平和構築、社会的課題の解決のためのパートナーであり主体であると位置づけています。

いま世界では、社会課題の解決に「若者の参画」がひとつのキーワードとなっています。

少子化が進む日本で若者が活躍する「場」をつくる

史上最多となった世界の若者人口とは対照的に、日本では少子化が進み、若者の人口は現在約1763万人(総務省発表2019年7月現在)。20年前の約2331万人からおよそ25%減少しています。

日本の若者一人ひとりが担う役割は大きくなり、社会への参画がこれまで以上に求められています。これからの日本を築く世代に対して、参画の機会を創出し、力を発揮できるようバックアップすることは、ユネスコ活動においても重点的に取り組むべき課題です。

若者はSDGsの大きな推進力

「誰ひとり取り残さない」をスローガンに掲げ、貧困や格差、地球温暖化などの世界的な課題を解決するための大きな目標であるSDGsも、若者の参画なしには実現できません。「ユース2030」では「若者と関わり合い、連携し、その権利を求めて立ち上がる若者を支援し、若者が進歩を遂げて積極的な役割を果たせる条件を整備しない限り、国際社会はすべての人の平和、安全、正義、気候に対するレジリエンスおよび持続可能な開発を達成できない」とし、国連が若者の参画を支援することを表明しています。

民間ユネスコ運動を担う若者たちはいま

全国のユネスコ協会・クラブの会員の総数は1万5157人で、その中で登録されている青年会員(18~35歳)は648人(2019年12月現在)、会員総数のわずか4.3%です。この数字だけを見ると、民間ユネスコ運動を担う若い人材は、相対的に少ないといわざるをえません。

実際に、学生時代にユネスコ活動に関わりを持つ機会を得ても、高校・大学進学、就職、結婚などを機に居住の移動を余儀なくされ、それと同時にユネスコ活動から離れてしまうケースも少なくありません。

こうした状況でも、全国の約20の協会・クラブに青年部があり、それぞれの青年部が、地域の課題解決やSDGs達成のために何ができるかを考え、地道に行動しています。その青年部の活動で最も多く行われているのが、子ども向けの野外活動(キャンプ)です。

若者の主体的な活動を下支え

仙台ユネスコ協会青年部では、5年前から「宮城子どもキャンプ」を毎夏開催。きっかけは2011年、東日本大震災で被災した子どもたちを対象に宮城で行われた「東日本大震災ユネスコ子どもキャンプ」です。そこにボランティアとして参加した仙台ユ協の青年たちを中心に、いつか宮城でもう一度キャンプをという思いで始まりました。企画準備から当日の運営までを青年部が行い、大人の協会員は教育委員会への依頼や保護者との連絡調整、財源確保を支援します。また、キャンプ期間中に防火管理者、看護師、指導者としてともに宿泊します。青年部の活動をサポートしている内藤惠子副会長は、「大人が前面に立つことをせず、青年部が企画・運営するこのキャンプは、青年たちの成長が図られる場。子どもと青年双方に学びのある場と捉えています。ともすると、手出し、口出しをしたくなる大人の気持ちを抑え、青年部の主体的な活動を下支えする立ち位置でいることを心がけています。最近大切とされている、自己肯定感、充実感を、参加した子ども・青年が持つ…実現できていると思います!」と語っています。

仙台ユ協の青年部が企画・運営する「宮城子どもキャンプ」 仙台ユ協の青年部が企画・運営する「宮城子どもキャンプ」

組織を超えたネットワーク

また、最近の若者の取り組みで特徴的なのは、地域を超えたネットワークです。ユネスコ活動でいえば、全国的青年連絡組織(ユネスコ協会・クラブに所属する青年会員の組織)が主催する青年全国大会やSNSを通して知り合った青年会員、高校生が、有機的なネットワークをいくつも構築しています。

ネットワークによる取り組みのひとつに、九州ユネスコリーダーシップセミナーがあります。九州地区の複数のユネスコ協会の青年会員が、連携して実行委員会を結成。大分、熊本の大学生を対象に1 泊2 日のセミナーを実施しています。セミナーをきっかけにして、ユネスコ協会の会員として活躍する大学生が生まれています。そして、このセミナーでも大人のサポート役は欠かせません。プログラムの中で講師を務める日本文理大学・人間力育成センター長の高見大介氏は、「青年に必要とされる、意味ある他者になるという姿勢でセミナーに臨んでいます。世代が違っても、学歴が違っても、職歴が違っても、常に互いに学びあうという姿勢が重要と考えています。若者は学業や仕事に追われていますが、パラレルキャリア(本業とは別の活動を平行して行うこと)の重要性も説き、どんなに忙しくても、戻れる場所としてユネスコ活動があるということを伝えたいです」と語ります。活動の持続可能性や質を高めること、運動の担い手育成といった観点からも、若者の活動への大人の側面的なサポートは必要です。

中国、四国、九州の青年によって企画運営されている高校生対象の「ユネスコみらいミーティング」 中国、四国、九州の青年によって企画運営されている高校生対象の「ユネスコみらいミーティング」

若者の活動から学ぶべきこと、今後への期待

今年の1月12日(日)・13日(月)に岐阜で行われた青年全国大会には、16協会45名の青年会員が参加しました。特徴的だったのは、プログラムが単なる講義や質疑応答ではなく、小グループでのディスカッションやワークショップの形式で占められていたことです。組織や地域の課題、ESDやSDGsをどのように捉え、活動に活かしていくかなどについて、参加者同士で議論を深めていきました。発言が誰か一人に集中することなく、誰もが自然に発言できる場となっていて、これは大人が大いに学ばなければならない点ではないでしょうか。

学習指導要領には、2020年度からSDGsに関する内容がさらに盛り込まれます。また、ユネスコスクールの登録が優に1000を超え、これからの運動を担う若者を取り込むチャンスも増えています。民間ユネスコ運動の使命として、SDGsに貢献する若者を輩出するために、若者を対象にしたさまざまな取り組みの実践が求められています。同時に、民間ユネスコ運動で活躍する若者をさらに増やし、サポートをするのも、民間ユネスコ運動の持続的発展のために不可欠なのです。
(事業部:尼子美博)

のびのびと議論が深まった今年の青年全国大会 のびのびと議論が深まった今年の青年全国大会


ユネスコ協会の青少年活動をサポート

  • 青少年ユネスコ活動助成

各地ユネスコ協会から、優れた地域活動、とくに「70周年ビジョン・ミッション」を具現化した青少年向けの新規事業を優先して公募し、助成しています。

申込締切:4月19日(日)

詳しくはリンク先をご覧ください。