機関誌「ユネスコ」 2021年4月号

2020年度 第7回
アクサ ユネスコ協会 減災教育プログラム



活動報告会・減災教育フォーラム報告

震災の教訓を全国の学校の減災教育につなげることを目的とした標記プログラム。
活動報告会と減災教育フォーラムをオンラインで実施し、被災地からの学びを広く発信した。



活動報告会

2月19日(金)、今年度の助成校24校35名がZoomによりオンライン参加した。開会式には、協力企業のアクサ生命保険株式会社の幸本智彦副社長も出席され、災害を身近に生活している日本社会を念頭に、災害時に生き抜く力を育む教育を推進する本事業の重要性を語った。


  • 主体的な学びと当事者意識を育む多彩な実践

助成活動の実践発表では、1年間に取り組んだ各校の成果が紹介された。子どもたちが主体的に地域の方に話を聞いたり、意見交換をしたほか、地域に発信する取り組みを行った学校も多くあった。さらに、ICTを活用して遠隔地の学校とつながり、減災教育の見識を深めたという学校もあった。助成校同士のディスカッションでは、「学校だけでなく、保護者や地域との連携により減災教育を行うことが大切」との共通の意見が出された。
 講師の及川幸彦先生からは、子どもたちの災害に対する「当事者意識」を育む減災教育が大事であり、その実現のために、自校の課題が何であるかを考えてほしいとの総括があった。

南海トラフ地震を想定した避難所運営訓練のようす(愛知県安城市立明和小学校の実践発表より) 南海トラフ地震を想定した避難所運営訓練のようす(愛知県安城市立明和小学校の実践発表より)

減災教育フォーラム~被災地の教訓から学ぶ~

2月20日(土)、当年度および過去の助成校から33校の教員がZoomで参加。その他の学校、ユネスコ協会・クラブ、教育委員会、文部科学省など130名の教育関係者はYouTubeでライブ視聴した。開会式には、アクサ生命保険株式会社の安渕聖司社長の出席もあり、責任ある企業市民として困難や有事に備える重要性を子どもたちに伝える使命があり、教育の力を通じて持続可能な地域社会をつくる思いが述べられた。
 フォーラムのテーマは「被災地の教訓から学ぶ」。東日本大震災をはじめ、過去に起こった4つの災害の経験を“未災地”の学校の減災教育にどう活かすかについて発信した。


  • 東日本大震災の教訓から

気仙沼市の教育復興をたどった当時の映像や、気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館の佐藤克美館長と及川先生によるトークセッション、被災校舎のバーチャル視察などがあった。佐藤館長からは、気仙沼市の中高生による語り部活動は、震災を風化させず後世に語り継ぐと同時に、生徒たちの主体的・対話的学びとなり、自己肯定感の高揚につながっていると、伝承活動の教育的側面にも言及があった。続いて同市鹿折(ししおり)中学校の生徒会の生徒からは、地域と連携した啓発活動など、主体的に減災教育に取り組むようすが伝えられた。

災害時の炊き出し訓練のようす(南阿蘇中学校の実践発表より) 災害時の炊き出し訓練のようす(南阿蘇中学校の実践発表より)


  • 日本各地の被災地の教訓から(分科会)

分科会では3つの事例をもとにディスカッションを行った。
 分科会1は、2020年7月豪雨で校舎が浸水した福岡県大牟田市立みなと小学校の事例から、発災時に円滑に行動できる対応力を育てることや、具体的な状況を想定した避難訓練の必要性を共有した。
 分科会2 の熊本県南阿蘇村立南阿蘇中学校の事例では、2016年の熊本地震での避難所生活の実体験から、生徒たちは共助の意識の大切さを学び、自主的に避難所運営の課題を考え、避難所運営マニュアルを創作し、活用する学習に取り組むようすが紹介された。
 分科会3では、1995年の阪神・淡路大震災の被災地にある神戸大学附属中等教育学校が、被災経験のない世代の生徒が当事者意識を持ち、減災教育に主体的に取り組むため、積極的に被災地訪問や他校との共同研究などを行っていると紹介された。
 2日間を通して「自分ごととして考える」というキーワードが多く出た。災害を自分ごととしてとらえ学ぶことが、災害が発災したときの行動変容につながる。この「自分ごととして考える」力を育てる視点と実践方法を、今後の本事業で広く発信していく。
(企画部:藤田 将章)


協力:アクサ生命保険株式会社
プログラムコーディネーター:及川 幸彦先生(東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター 主幹研究員)
講師・ファシリテーター:上田 和孝先生(新潟大学工学部附属工学力教育センター 准教授)