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山花の『恵』~循環型の社会に正対できる思考を培う総合的な学習

釧路市立山花小中学校

参加人数 小2~中3 23人 
地域住民・保護者 50人

助成活動期間2020/4~2021/3

活動のねらい

学校と地域、人間と動物、農作物と飼料、自然環境、外国とのつながりなど、互いに関わり合っているという「相互性」や「循環型の社会」のあり方について、自ら主体的に思考判断し、行動できる資質や能力を身に付けさせる。

活動内容

活動のテーマとして、化学肥料や農薬が環境に与える影響を考え、土作りから収穫、種取り、堆肥作りを行うという身近な取組みから、栽培する食物の世界的な収量や日本を取り巻く環境などグローバルな視点で考えるところまでを行っている。 (小中併置校の利点を活かし、9年間のスパンで活動)

具体的には、以下の活動を実施。
・収穫した作物を用いて日本伝統の食品や世界の食品として加工調理して食文化の国際交流(例:ピザ作り)
・化学肥料や農薬が環境に与える影響を考え、土作りから収穫、種取り、堆肥作りを行うという身近な取組み。
・酪農地帯である地域の身近な問題から、日本の食糧事情について、人口増による食料生産の負荷が地球に及ぼす影響までをグローバルな視点で捉えていけるように計画。

【活動の流れ】
・6月:栽培学習の本格始動
全校で一斉に苗植えを行う。

・8月中旬:秋まき小麦を収穫
去年の10月末から育ててきた「秋まき小麦」を収穫した。刈り取りは中学生全員で、安全を考慮して鎌ではなく「はさみ」を使って丁寧に刈り取った。

・8月末:小麦の脱穀作業
昨年度、アシストプロジェクトで購入した脱穀を使用して中学生が小麦の脱穀を行った。

・9月下旬:収穫した作物を使ってピザ作り
山花小中学校では総合の時間で学年毎の担当作物と、個人個人の作物を育てている。今年は各学年の担当作物として、小学低学年がジャガイモ、中学年がトウモロコシ、高学年が大豆を担当し、中学生は小麦を育てた。収穫の秋は、各学年で担当した作物でポテトチップスやコーンポタージュなどの料理を作った。今回は中学生が種まきから収穫までをやり遂げ小麦を石臼で製粉し、小麦粉を作ってからピザを焼いた。

・10月中旬:小麦の種を蒔く
昨年度は反省を生かして豊作となった。今回も豊作を願って丁寧に蒔いた。

・10月中旬:動物園学習
飼育体験を行った。これは「相互性」や「循環型の社会」のあり方について学ぶことを目的に行った。この経験を通してどのような餌を食べているか、体重はどれくらいかなど、動物の生態に詳しくなっただけではなく、飼育員さんの仕事の大変さなども知ることができた。

・栽培学習発表会
中学生それぞれが担当した作物や自分で体験、検証したことなどを保護者、小学生の前で発表した。

  • 6月:栽培学習の本格始動

  • 6月:一斉植え付けの様子

  • 8月末:小麦の脱穀作業

  • 8月末:小麦の脱穀作業

  • 9月下旬:収穫した作物を使ってピザ作り

  • 10月中旬:小麦の種を蒔く

  • 10月中旬:動物園学習

  • 10月中旬:動物園学習

助成金の使途

助成額 10万円
(下記費用を、助成金から充当)

内訳使途金額
消耗品費 手動ミンサー 10,626
消耗品費 電動ミンサー 31,878
消耗品費 石臼セット 54,536

児童・生徒の変容

今回の栽培学習は2年目であったが、ジャガイモ(小学生低学年担当)、トウモロコシ(小学生中学年担当)、大豆(小学生高学年担当)、小麦(中学生担当)に焦点を当てた栽培について、目的意識や活動内容に深化が見られた。

先生の声

・小麦の栽培については、昨年度の失敗を分析して(残留肥料や低温による生育不良で収量がほぼゼロになった)取り組んだ「秋まき小麦」が成功して豊作となった。これにより、子どもたちには「PDCA」の思考サイクルをベースにして物事に取り組む大切さを学ばせることができた。

・学習発表会では、「このように育てた結果、このようなものができました」という報告だけではなく、小学生中学年以降は世界の食糧事情や食文化に触れることで、育てた作物をグローバルな視点から考えることができるようになってきた。

・栽培学習という「本物」に触れる体験を通して学びを深めていくことや、成功体験を重ねていくことも重要であるが、今後はタブレットを活用することで少量の作付けでも十分な収量を上げる取組を行ったり、他の地域の子どもたちや他国の子どもたちと直接交流を図ることで学びを深める取組につなげていきたい。

生徒の声

・いつも買っている小麦は白いけど、山花で収穫して、製粉した小麦は薄茶色だった。体によさそうな色だと思った。

・小麦はお店で安く買っているけど、実際に育てて、脱穀して、製粉するのはすごく大変だった。

・小麦は栄養が豊富な土地では実をもたないことが分かった。肥料をあげれば、作物は何でも大きくなると思っていたので驚いた。

・みんなでつくって、みんなで食べたピザはとてもおいしかった。

・山花の小麦でつくったピザは、モチモチしていて食べ応えがあった。トッピングした野菜も学校農園で採れたものだったので、とてもおいしく感じた。

・外で、段ボールオーブンで焼いた。火をおこしたり、火力を調節したり、焼きあがるまで少し時間はかかったけど、その分おいしく感じた。

・乾燥させて保存しておいた、夏野菜のトマトやナスもオリープオイルに浸して、もどしてからトッピングした。夏の野菜が、秋にもおいしく食べられて驚いた。

学習成果発表の様子

プレゼンテーションソフトを利用して、各自の活動の内容を紹介しました。小麦の製粉の仕方や小麦の選別に苦労したこと、作物を長期保存するためにドライフードを作ってみたこと、ピザの具材として長期保存したドライフードを使ってみたことなど、実際に活動してきたことの報告がありました。どの活動も興味深く、全員が発表に聞き入りました。

教材ダウンロード

資料なし