新年のご挨拶

新年おめでとうございます 会長 佐藤美智子

昨年はまさに激動の一年でした。イギリスのEU離脱から始まって、アメリカ大統領戦でのトランプ氏の勝利と思わぬ方向に世界が動き始めています。人種差別、排他主義が大手を振って闊歩し始めています。今までは口にすることが憚られていた事が遠慮なく言える世の中に変わってしまいました。

アメリカの学校では既に子供たちまでその影響が現れているようで恐ろしくなります。差別は怨念を生み戦争の種となります。

“心の中に平和の砦をきずかねばならない”とうたわれているユネスコ精神とは正反対!!正に世界平和の危機に直面しているように思えるのです。今こそユネスコ精神を世界に大声でアピールする必要があります。

では私たちは具体的にすぐに何をしたらよいのか自問自答する昨今ですが、まず一人でも多く会員を増やしユネスコ精神を知って頂くための事業を展開しなくてはならないでしょう。

鎌倉ユネスコの会員は昨年一年間もまた、実に見事な活動をなさってくださいました。会員の方々が力を合わせ、各委員会のなすべき事業にご尽力くださり、地球温暖化問題に関する『科学環境スタディツアー』や「平和の鐘を鳴らそう」、ESD(持続可能な開発のための教育)への取り組みや他国の衣食の勉強会。また、無から有を生み出すために大変な精力を使うバザーや書きそんじハガキ集めなどにも、ご努力下さり、その資金を現在一番必要としている地域や国に寄付することが出来ました。科学環境スタディではチェルノブイリまで出かけようかという積極的なご意見まで出たと伺い、その情熱を嬉しく感じた事でした。

昨年特筆すべきことは、平山シルクロード美術館と共催で平山画伯追悼の文化講演会を開催し、当協会初代会長もお勤め下さった平山画伯の偉業を改めて百名以上の来会者に認識して頂き、文化交流と文化遺産保護の重要性を確認し、先生のご遺志を無駄にしてはならないと深く心に刻んだことでした。

この会をご提案下さり司会をお勤めくださった前田耕作先生、ご講演下さった宮廻正明先生と玉井賢二先生に心から厚く御礼申し上げる次第です。このような文化講演会は今年度も開催したいものと願っております。

講演会当日、平山美知子夫人はご自身の版画展のためにニューヨークに発たれたとのことで、その昔、銀座で夫人の版画展を拝見して大感激した私はとてもうれしく思いました。素晴らしい人材にあふれた当協会が今年も各々の能力を発揮して世界を平和に導く一滴になればと願ってやみません。

~民間ユネスコ運動70周年の節目を迎えて 理事長 石田 喬也~

新年明けましておめでとうございます。年明け早々にドナルド・トランプ氏が米国次期大統領に就任する衝撃からまず一番に私の頭をよぎったのは、国連「ミレニアム開発目標(MDGs)」への取り組みをスタートした翌年に9.11米国同時多発テロが起こった悪夢の再来の思いでした。

昨年の新年ご挨拶で、「持続可能な開発目標(SDGs) 」が一昨年9月の国連総会にて全会一致で採択された歴史的な快挙に“潮目は変わった”、と書きました。しかし、その推進の牽引的役割を担うことが期待される米国の次期大統領が、SDGsの目標とする世界のすべての人々の極度の貧困と飢餓の撲滅や不平等の是正、地球環境の保護、更にはグローバル・パートナーシップなどに対して、反対あるいは無関心になると予想されることから、SDGsの行く末に一気に暗雲が覆ったからです。

時間軸を戻してMDGsの場合は、2000年9月に開催された国連ミレニアム総会において、世界が一丸となって地球上の貧困や環境の劣化に立ち向かう決意を表明したことが画期的でした。ところが一年後に9.11テロが発生して、米国は対テロ戦争に巨額を投入することになり、GNP比で先進国全体のほぼ半分を期待されたMDGs対応の米国援助金は大幅にカットされました。かくして、2015年を期限としたMDGsアジェンダは、開発途上国における極度の貧困(1日1.25ドル未満で生活)を1990年比半分以下とする、などの諸目標を基本的に達成した意義が大きかったですが、国個別では例えば自助努力が及ばないサハラ以南のアフリカ諸国は取り残されました<cf.「貧困の終焉」ジェフリー・サックス著、早川書房2006年>。

そしてこのたびの次期大統領選挙です。私たちは今、米国と言えども世界の秩序を守るリーダの役割を果たせない時代になって、世界の新秩序のあり方を考えるべき時に至った、と言えます。この見方を早くも約5年前にGゼロ(世界に指導国のない)時代と名付けたのは米国気鋭の政治学者、イアン・ブレマーです。彼は、米国次期大統領選挙直前に発行の近著<「スーパーパワー Gゼロ時代のアメリカの選択」日本経済新聞出版社2015年12月>において、世界の盟主として外国に色々と介入するのは米国の手に余るようになった、それよりもおろそかになっている内政への対応の重視へ舵を取るべきである、という意見を複雑極まりない現在の国際情勢に対する冷静かつ緻密な分析を踏まえて主張しています。

米国だけでなく各国が自国中心主義を強めるトレンドにあって、ESD(持続可能発展教育)を通して、地域から始めて世界が多文化共生の価値観を共有することで「人の心の中に平和の砦を築こう」を目指す私たちのユネスコ活動がいよいよ重要になってきました。日本の民間ユネスコ運動が70周年を迎える節目の年に、この思いを新たにしたいと思います。

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