中部東ブロック大会・
  ユネスコ活動研究大会in鎌倉

文化の多様性と平和の文化 未来世代に残す地球に向けて

鎌倉ユネスコ協会が、創立25周年の最後の事業として位置付けしたイベントが、3月8日,9日に鎌倉市生涯学習センター・ホールにおいて開催されました。中部東ブロックに所属する各ユネスコ協会から参加した会員、来賓、招待客、出演者を含めた関係者、更に公募した鎌倉市民でホールは満員の盛況でした。参加人数:260名。

第一日目 3月8日(土)

開会式

12時30分、佐藤美智子鎌倉ユネスコ会長の歓迎のことばで開幕。
黒川雅夫神奈川県副知事、松尾崇鎌倉市長による来賓祝辞につづき壇上の福寿庸県教委生涯学習部長,安良岡靖史市教育長のご紹介で開会式を終了した。

特別記念講演

「未来のために平和を考えよう」と題して、ユネスコ親善大使 千 玄室氏の講演が1時より始まった。

特別記念講演の様子先ずユネスコの誕生に触れられた後、故平山郁夫画伯との敦煌での出会い、高句麗の古代遺跡を世界遺産にして守っていこうとの約束。それが果たせず平山先生が亡くなられ、私が親善大使になったのも深いご縁を感じます、と。
次に、本大会のシンポジウムのパネリストの一人である近藤前文化庁長官の、三保の松原を含めた富士山の世界遺産登録実現と、和食の無形文化遺産登録へのご尽力の労をねぎらわれた。

ユネスコの無形文化遺産としての「日本食」は、「一汁三菜」が食としての原則であり、贅沢ではないと。「旬のものを簡素に」が茶道の基本で、これが懐石です。そのいわれは、禅僧が厳寒の修行中に温めた石を懐中にして空腹をしのいだという「懐の石」にちなむのです。
最後は第二次世界大戦中の海軍特別攻撃隊でのご体験。

隊員の一人が「生きて帰ったらお前のところの茶室で茶をのませてくれよ」と。その瞬間「死」に直面したと。みんなで「お母さ-ん」と叫び、特攻兵達は出撃していきました。
平和のためには、利休の「和敬清寂」の精神で信頼し合い、ユネスコという組織の中で一人ひとりが口先だけでなく、生き方として平和への志と行動を生かし、伝えていくことが大切と思います、と結ばれた。

伝統音楽演奏

声明の演奏

北欧ラップランドの少数民族サーミによる伝承音楽は北極圏の大自然を思わせるボーカル。
サーミと光明寺の2人の僧侶による声明とのコラボは文化の多様性のトライアル。

シンポジウム

伊藤玄二郎氏と近藤誠一氏佐藤孝雄氏とマクミラン氏

近藤誠一氏は、文化外交最前線からの経験から、平和は守るだけではなく積極的につくっていくべきもの。世界遺産登録でも富士山は自然遺産から文化遺産に変え20年かかっている。鎌倉も我々自身の持っている目に見えない価値を掘り起していく、それが鎌倉の世界遺産へのみちなのでは。
佐藤孝雄氏は、考古学者は発掘されるマンモスの牙等の物体をとおしてしか異文化を体験し理解することができないのだと。そして江戸時代シベリヤに漂着しペテルブルグに到達し帰国した大黒屋光太夫が所持した尺八が異文化交流の助けとなり、ロシア国内の旅を続けられたのではと。そこに異文化を学ぶ意味があり、異文化を尊重し、お互いのアイデンティティを認めあうという、文化の持つソフトパワーは侮れないのだと。
ピーターJマクミラン氏は、アイルランド生まれで日本古典文学に詳しい。百人一首、伊勢物語の英訳がある。アイルランド出身の小泉八雲は、自然や目に見えないものを大切にするという点で日本の古典と共通するところがある。日本からはこの共通するものを世界にもっと理解されるように発信すればいいのでは。しかし、西洋はキリスト教に基づくので完璧性と永遠性を求める。日本は西洋にない不完全なものを求めていく、すなわち物質をとおして精神を求めていくというすばらしい美的感覚、文化を持っている。
これは「和を以て尊しとなす」とする日本文化の基調に通じるもので、ここから世界の舞台での貢献ができるのではないか。
・コーディネーターの伊藤玄二郎氏は、「エヴォラ屏風の世界」~ポルトガルに渡った屏風の下張文書から、もう一つの日本史を探る~という自ら携わられた事業の興味深いお話を。そして、シンポジウムを「文化の多様性とこれからの日本」のテーマの基に企画・実現され、各パネラーの専門分野からのお話をまとめられた。

馬場信子氏の琴演奏

第一日目の特別記念講演、サーミ伝承音楽と声明の演奏及びシンポジウムは、来賓、大会参加者及び一般入場者からも、大変好評であり、それぞれのテーマも大会テーマを示唆する点で大きな成果があった。

交流懇親会 会場 鎌倉パークホテル

平和の鐘の前で会長挨拶サーミ族の伝承音楽を演奏するサイラとエリナ

シンポジウム終了後チャーターバスに分乗し会場へ。
鎌倉ユネスコ協会佐藤美智子会長の同協会会員制作の平和の鐘を撞き歓迎のご挨拶。
鎌倉ユネスコ協会会員の馬場信子氏の琴演奏や斉藤泰典氏の獅子舞、各ユ協1分間スピーチ。
参加者名札には会場座席・バス号車No.懇親会テーブルNo.が付され分り易いと大好評。

第二日目 3月9日(日)

「地域ユ協における青少年対象事業」研究事例発表

◆発表Ⅰ.

テーマ「“ユネスコESDパスポート”パイロットプロジェクト」

<発表者>
鎌倉ユネスコ協会、横浜国立大学附属鎌倉中学校生徒代表相馬英恵さん 川上春杜さん 白木里南さん
①海外生活体験発表会:国際理解・協力
さまざまな国での生活経験のある帰国生の、海外生活体験 発表会を開催。帰国生の現地での生活体験と、現地の学校に入学した場合には現地の教育体系と授業の進め方の体験ができ貴重である。この場合の生活環境と現地学校での体験は、国際理解や国際協力の原点の体験である。これを全校生徒や保護者、地域の方にも伝えられるのは異文化理解を広く知らせる要点ともいえ、この発表会は大いに評価でき、成果があった。
②科学部の活動:環境保護・文化
ビーチコーミングや時代の陶磁器片・生活用具をとおして地域の自然・環境問題、生活の歴史・文化を考え、鎌倉市の紋章りんどう栽培観察を発表・展示をして、学校だけでなく保護者や地域にも発信している。この点は地域に存在する学校としての地域へのPRとアカウンタビリティの点からも評価できる。また、同校のユネスコスクール認可のきっかけとなった鎌倉ユネスコ協会の働きかけと、これに応じた同校の対応も大いに評価できる。

◆発表2.

テーマ「ユネスコサマースクール」

<発表者>
沼津ユネスコ協会会長
原博男氏
沼津ユ協と厚木ユ協とのサマースクールの交流は15年ほどになるという。サマースクールは元々厚木ユ協独自の活動であったが、活動会場は沼津市郊外の禅寺とのこと。県境を越えた交流活動は、地域住民も巻き込んだ子供だけでなく大人たちの支援と交流で、地域同士の活動の連携はユネスコ運動の輪を広げる活動として評価できる。
平和の鐘の前で会長挨拶サーミ族の伝承音楽を演奏するサイラとエリナ

◆発表3.

テーマ 「近隣ユネスコスクールとの連携」

(1)山梨県地区での連携
<発表者>
甲府ユネスコ協会副会長
有泉俊子氏
甲府ユ協は「ユネスコスクールとは何か?」を2011年にユネスコ国内委員の方々とパリのユネスコ本部で研修を受けたという。これを基に2013年にユネスコスクールに認可された山梨英和中学高等学校の先生と生徒さんを招き講演会を開催したとのこと。ユネスコスクールと共に活動を志す意思と努力が評価できる。

(2)長野県地区での連携
<発表者>
長野ユネスコ協会理事
安達仁実氏
長野県内のユネスコスクールは、信州大学教育学部付属松本中学校だけであるが、同校は「たくましく心豊かな地球市民」の実現に向けエコキャンパス活動や東日本大震災支援活動等を展開しているが、民間ユネスコとして、同スクールとの連携を検討中。

◆発表4.

テーマ 「カンボジア・コーアクションツアー」

<発表者>
厚木ユネスコ協会 井上美恵子氏山崎聖也氏 森住百恵氏
厚木ユ協は2013年夏、青年ボランティアグループの青年を主に“コーアクションツアーinカンボジア”を実施。寺子屋の籠バックデザインのヒントを提示し現地に溶込み理解と交流を深め、隊員のカンボジアへの熱い思いが語られ、その成果が評価できる。(丸山)

鎌倉大仏高徳院客殿での会食

ブロック大会終了後の9日午後、特別プログラム鎌倉大仏殿高徳院客殿での会食に出席した。 予定では最初に全員写真を大仏様をバックに取る予定だったが、参拝客が大勢で撮影場所が確保できず写真はあとまわしにする。会食の冒頭に神奈川県連絡協議会の代表として小田原ユネスコの安藤純一会長がご挨拶。続いて高徳院住職、前日のシンポジウムでパネリストを務めた、佐藤孝雄教授による「歓迎のことばと乾杯」発声で会食は始まった。

食事は法人会員の“御代川”特製弁当とお吸い物。高徳院客殿での一同歓迎の言葉の中で、佐藤教授は東日本大震災直後は、特に外国人の参詣客が減少。海外の友人からお見舞いのメールが多く来たこと。作家の村上春樹の新聞投稿「魂の行きかう道筋」と題した記事を話された。「尖閣諸島の問題で中国では日本製品の不買運動が起こっているが、それに対する、日本側も同じように不買をするのはナンセンス」と。
領土問題は国と国の実務レベルで解決を、多くの人が汗を流す文化活動ときちんと分けて判断すること。異文化にたいするパーソナルな関係が、市民レベルのつながりが非常に大切とご挨拶された。
食事が一段落したとき、鎌倉ユネスコの佐藤美智子会長が、「外国人たちが見た 書いた“鎌倉大仏”」と題してスピーチをしてくださった。用意された資料は1613年英国司令官ジョン・セーリスの「日本渡航記」から1894年のラフカディオ・ハーンの「日本の面影」まで多岐にわたり、キプリングの「鎌倉の大仏」の詩朗読がとくにすばらしかった。最後にデザートは、2010年オバマ大統領が鎌倉大仏を訪問したとき、少年時代に食べた抹茶アイスクリームを要望して有名になったデザートでした。 (鴇澤)

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