No.205-4

急遽開催 会場は感動の渦に

グルジア ムツヘタ多重声合唱と踊り
ユネスコ「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」

日時 : 2月21日(土)正午  会場 : 五本木小学校体育館

それは、「エデンの園」から舞い降りた天使の合唱のようでした。そうです。グルジアはエデンの園伝説の原形と言われています。ノアの方舟が大洪水から逃れて着地したアララット山は隣国トルコの国境にあり、グルジアの南に聳えています。ムツヘタは首都トビリシの北西にある旧首都で紀元前4世紀から紀元6世紀にかけて栄えた都市です。この歴史地区は世界遺産に指定されています。http://www.tbs.co.jp/heritage/20040307/onair_p.html
 アンサンブル ムツヘタは都内で開催された「世界伝統芸能フェスティバル」に出演し、帰国のため成田へ移動するわずかな時間をさいて、急に五本木小学校での親善公演をして下さいました。多重声合唱は、ユネスコ「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」に含まれています。

【まずは、お寄せ下さった感想をご覧下さい。】

アンサンブル ムツヘタを聴いて            子安 隆・八千代松蔭高校2年生 成田市在住 (※1)

 最初このアンサンブルを親に誘われた時は、ちょっと面白そうというくらいの軽い気持ちだった。
 しかし、実際に聴いてみると、その思いは全く別のものとなった。メリハリ、そして深みのある歌声や軽やかで力強い切れのあるダンス。想像をはるかに越えるほど素晴らしかった。
 特に感動したのは、トウモロコシ畑での作業中に歌われるという「ナドウーリ」と、サラムリと呼ばれる笛を一人で2本同時に吹く「ポプーリ」という曲だ。「ナドウーリ」を聴いていると、作業をしている様子が目に浮かんでくるようだった。僕はこの曲をグルジアに実際に行って、トウモロコシ畑で歌っているのを見てみたいと思った。
 世の中には、この様な知らない事がまだまだたくさんある。今回のような他国の文化を知ることができたり、交流できたりする機会をもっともっとたくさんの人に見てもらえるようになれば良いのになと思う。そしてユネスコの為に僕も出来ることが無いのかを改めて考えてみたいと思った。

全ての声部が絡み合う「多重声合唱・ポリフォニー」の秘技  鈴木郁子(ミュージックプロデューサー・目黒区在住)

 グルジア共和国、それは聞いたことのない国名でした。
ユネスコの濱田さんに「必見・必聴」のメールを頂き、すぐにインターネットで、「グルジア」と検索してみました。トルコ、ロシア、黒海に接している小さな国だとわかりました。
 昨年夏までオーストリアのザルツブルグで、“音楽と動き(ダンス)の教育学”を勉強に行っていましたときにクラスメイトにトルコ人がいました。彼はトルコの大学でドラマ専攻の先生をしています。その彼が母国の楽器をよく演奏してくれました。それは直径80センチくらいの太鼓を体の前に縦に肩からかけて細いバチを両手に持ち、演奏するものです。この演奏には必ず、ダンスがついていて、男性は楽器演奏、女性が踊るものだそうです。ステップを教えてくれクラスメイトで踊っているとだんだん気分が高揚していったのを思い出します。この度の演奏会にも同じようなフィーリングを持ちました。
 多重声とは英語でPolyphony(ポリフォニー)。これは全ての声部が独立しそれぞれが同程度の比重で絡み合うもので、どこが主旋律でどこが伴奏か、という区別はないものです。この技法は決してヨーロッパ民族独自の発明ではなく、世界の民族音楽においていえます。例えば、日本のじょんがら節にも同じことがいえます。
 全ての声部が絡み合うから気分が高揚していくのか?・・・不思議な作用です。
アンサンブル・ムツヘタの音楽に対する意識の深さを感じ、演奏会終了後、いま一度、観たい、聴きたいという気持ちになりました。
 演奏会後、幸せな気持ちで過ごすことができました。有難うございます。

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