特集 「大阪ユネスコ協会
青少年国際理解教育プログラム」
実施30回記念集

〜ご挨拶〜  大阪ユネスコ協会会長  中馬弘毅
大阪ユネスコ協会ではかねてから、教育・科学・文化の分野で国際理解・国際協力を通じて世界平和に貢献する各種活動を展開しています。この目的の達成にもっとも効果があり、意義深い活動のひとつが、直接肌に触れ、目で見て体験し、言葉を交わすことにより国際的な視野と友好の輪を広げることができる海外研修であります。

*現地同行雑感  
 研修生の中には、(ウルサイ?)両親の元を離れて羽を伸ばせる、と期待して参加した生徒もいるようで、訪問先で添乗員さんのアドバイスや指示をなかなか聞き入れず、ハラハラさせる男子もたまにはいた。そのようなケースでは、私の出番になることもあり、当該の生徒を別室で注意したこともあった。なかなかこちらのアドバイスを聞き入れない場合は、親元に連絡して強制送還(?)する、と最後通告?すると納得し、ほとんど解決した。ホームステイの場合、到着地(大抵、訪問地の学校)へホストファミリーが出迎えに来てくれる。
そして一昨年前より、このプログラムは添乗員だけではなく、大阪大学の学生さんにアシスタントスタッフとして同行してもらうことになり、その一回目にはこのプログラムの参加経験者である女子大生と一緒に行くことができました。まさに、添乗員冥利に尽きる−とはこのこと、ありがたい経験をさせていただきました。今後も、未来ある子どもたちに貴重な経験のチャンスが増えることを願っています。
〜添乗員が想い出を語る〜
添乗の思い出  日通旅行添乗員  瀬川美恵子
 私が初めてユネスコプログラムの子どもたちのツァー添乗をさせていただいたのは、今から14年前。プログラムがスタートしたばかりの時でした。それ以来、毎年春休みに1回、夏休みには1回または2回と、沢山の子どもたちと出会ってまいりました。500人近くの子どもたちに出会ったと思います。(中には「前に参加して楽しかったので、また参加したよー」という嬉しいリピーターもいました。)

都心部から離れたところでステイすることが多く、帰国のために空港のある町に前泊したとき、「あー、ホームシック・・・」、「何言ってるの!明日日本に帰れるじゃない」、「違うよ!ホストファミリーに会いたいホームシック!」などと言うことを聞くと、「あの不安の固まりだった子どもがこんなになるなんて・・・」と感慨深い思いを何度も繰り返し、帰りの機内で書いてもらう感想文の「このプログラムに参加させてくれたお父さんお母さんに感謝です」の一文に、親でもある私は胸が一杯になったりもしました。

あるとき、ホームステイ先の母親が来ていて、迎える研修生が女性なのを大変喜んでくれたので、わけを聞いてみると、ステイ先には男の子しかいないので、若い女の子がステイしてくれるのが嬉しいとのこと。ビックリして事情を調べると、ステイ先の子供の名前が女性風?であったので、旅行事務局では女性の研修生を割り当てたようであった。
ユネスコ協会としては、ステイさせてもらう研修生と同性のパートナーが居住しているホームを原則としているので、このお宅ではホームステイさせてもらうことは残念ながらできない旨説明すると、母親は非常にガッカリしていた。とりあえず到着日の夜は、プログラム担当教員宅に泊めてもらい、翌日、別のステイ先を見つけてもらうことになり、安心した。
〜プログラム雑感〜    大阪ユネスコ協会事務局長  武田暢樹
*プログラムの立案
 1996年(平成8年)、辻祥光・日通旅行大阪支店営業部次長(当時)と共同で、青少年(主として中・高校生)を対象とした懸案の海外研修プログラムを立案、主として近畿地方を主とすることになった。各府県教育委員会の後援名義の取得にこのプログラム成功のカギがかかっているという認識のもと、早速企画を立案。各府県教育委員会詣でを始め、辻氏が社用車を運転、私が同乗して連日各府県を遍歴した結果、当初大阪府・大阪市・京都府・京都市・兵庫県・神戸市・滋賀県・和歌山県の各府・市・県から後援名義使用が認可された。
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本プログラムの開始当初、各方面でご努力ご協力いただいた下記の皆様に深謝いたします。
 辻  祥光氏  元日本通運(株)大阪旅行支店営業部次長  矢野 裕正氏  同 営業企画課    山本良男氏 、 瀬川美恵子氏 同 添乗員
  「大阪ユネスコ協会青少年国際理解教育プログラム」は日通旅行大阪の旅行企画により実施スタート。平成9年(1997)8月16日から同25日までの10日間、30名の研修生が5班に別れて、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州内の5高校をそれぞれ訪問、実りある楽しい10日間を過ごしました。この第1回プログラム実施以来、毎年春・夏休みの年2回継続実施、さらに冬休みプログラムも編成。訪問国もイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、マレーシア等に拡大、平成24年(2012)春休みプログラムで第30回を迎え、参加研修生は合計2000 名に達しました。
本欄では、15年前の当時を回想してご寄稿いただきました。 また、このプログラム実施の想い出として写真を掲載して、このプログラムを担当していただいた日本通運(株)大阪旅行支店(当時)の皆様のご努力を偲び、感謝申し上げます。このプログラムの内容をさらに充実して長く継続いたしますようご努力、ご協力の程お願い申し上げます。
ホームステイ先では、夕食に連日じゃがいも料理が出てウンザリした、と、添乗員さんに話したということを聞いた。対策として、毎朝登校時にホームステイの状況その他を具体的に各研修生から聞き取るように添乗員さんに要請した。例えば、「昨日の夕食のメニューは?」、「洗濯は?」、「入浴は?」などの状況を具体的に聴取すること。「昨日はどうだった?」などと聞くと、「別に」などと答えられて、実態がなかなか把握できないことが多いと思われる。
  現地に到着し、ホストファミリーが迎えに来てくれ、期待と大きな不安を入り混ぜながらの何とも言えない顔つきでお宅に引き取られていく子どもたち。さっきまであんなに賑やかだった子どもたちが「借りてきた猫」をさらにおとなしくしたような感じでした。  しかしプログラムが進んで行くにつれ、日一日と子どもたちの表情が変わっていきます。最初は「今何て言ったの?」と、ホストファミリーや先生のおっしゃったことの意味が分からず、何でも尋ねていた子どもたちの耳が、驚くほどのスピードで慣れていきました。うっかりすると、他のことに気をとられ聞き逃していた添乗員の私に子どもたちのほうが聞き取って教えてくれることも・・・。子どもたちの耳の慣れかたは正直、うらやましく思いました。