「 ご挨拶 」
大阪ユネスコ協会 会長 中馬 弘毅
「この世界から戦争をなくそう!」と第二次世界大戦の反省から集まった国々が設置した国際連合、そして、その実行役としてのわが“UNESCO”をはじめ世界保健機関(WHO)、国連開発計画(UNDP)、国連環境計画(UNEP)などなど、多くの国連機関並びに協賛団体は、これまでの約七〇年間、それなりの役割を果たしてきたことは大いに評価されよう。
しかし戦争はいまだなくなっていない。しかも“戦争”そのものが、大戦後想定したような国家間の争いだけではなく、最近は国家の枠を越えた争い即ち、宗教・宗派間の争い、部族間のイガミ合い格差社会への憤り、国内での権力闘争、主導権争い等々が、テロリズムなどの手段も加わって頻発するようになってきました。
これらは、国家の軍隊が武器、兵力でもって鎮圧できるようなものではありません。
ユネスコが目指した、戦争の根元的な原因たる貧困や無学をなくし、それぞれの民族が築いてきた文化(含宗教)を互いに認め合うという理念は継続するとしても、これからは、国家や民族・人種・階層の枠を越えた人間としてのつながり、人間愛や医療、教育、文化、自然保護等の問題意識を共有する、ボランティア活動の世界的な組織、NGOのネットワークの構築に期待せざるを得ないような気がします。
幸い、わが国のユネスコ活動は、「ユネスコ・スクール」などを拠点として、地域との連携のもと「ESDカード」などを一つの手段に、ボランティア活動の輪を広げる運動を展開しはじめています。
わが大阪ユネスコ協会も、近く大阪府下の地域ユネスコ協会と手を携えて「大阪府連合会」を結成して、活動をさらに大きく活発化していきたいと思います。
この際とくに、幅広い国際的視野を持った人々や、活動的な若い人々の参加に期待したいものです。 (2015年4月記)