Morioka UNESCO Association
盛岡ユネスコ協会

活動レポート

Date.2020.01-03版

ご協力をお願い致します!
東日本大震災が教えてくれたもの

盛岡ユネスコ協会副会長 田中耕之助

あの東日本大震災は私たちに何を教えてくれたのでしょうか。ご縁の深いお二人の方を紹介します。

お一人目は当時、水沢商業高校校長の工藤昌雄先生(現盛岡ユ協会長)です。私は副校長でした。誰も経験したことがない揺れに驚き、不安の中で生徒たちを安全に帰宅させ、断続的に対応を協議する中、工藤校長は、今夜は自分が学校に泊るから、先生は盛岡に帰宅しなさいと言ってくださいました。そして校長先生は発災の夜から停電が復旧するまで、独り校長室に泊まり学校を守り過ごされたのです。

「その時どう動く」という言葉がありますが、まさにリーダーとしてあるべき姿を身をもって示されたのです。その後も工藤校長は、生徒たちに「人に喜ばれる悦び」の体験をさせたいと全校生徒による沿岸部復旧ボランティアの実施をはじめ、公私にわたって多くの支援活動をなされました。

さらにもう一人、昨年度、盛岡ユネスコ協会に入会された又川俊三氏。又川氏は、私が現在所属している星北高等学園の理事長ですが、多くの団体、組織の役職もお持ちで「千の音色をつなぐ絆」プロジェクトの会長も務められています。

これは「津波バイオリン」という今回の津波による流木を材料として作られたバイオリンを千人のバイオリニストに弾いてもらうというプロジェクトで、2012年3月11日からスタートし、外国人も含め現在7百名を越えています。今上天皇陛下も皇太子時代にお弾きになり、上皇后美智子様も4度演奏会にお見えになったとのことです。

又川さんは私と一緒に本校の案内等で県内中学校を訪問する際、「津波バイオリン」を使った復興教育授業を提案します。この授業は第2部のバイオリンの演奏に先立って、第1部で又川さんが映像を使って、バイオリン製作の経緯や思い、震災当時の被災者の行動に対する国内外からの評価と支援について説明されます。困難の中にも常に誰かのことを思いやり、自らできることを秩序を保ち整然とこなす被災者の姿が世界中から絶賛されたと伝えられると、中学生たちは一様に感銘を覚えます。

震災は「勤勉・誠実・忍耐・正直・親切・克己・感謝・報恩」という新渡戸稲造先生の「武士道」にも通じる日本人古来の精神に気づかせてくれたと言います。私たちはその姿を忘れてはなりません。

世界中が新型コロナウイルス感染という危機に遭遇している今こそ、東日本大震災が教えてくれた温かくしっかりしたリーダーシップと他者を思いやる日本の「武士道」精神をもって困難を乗り越えて行きたいものです。

末尾になりましたが、改めて犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたしますと共に、被災地の一日も早い復興をお祈りいたします。

令和元年度 第2回 講演会・会員交流会 開催

元年度第2回公演会・会員交流会が2月19日、アートホテル盛岡で開催され50名ほどの会員が参加しました。今回の公演はギター奏者 山家章裕(やんべ あきひろ)氏のギターソロ演奏です。


時に激しく・時に優しく奏でるギターソロ

山家氏は15歳で渡米。カリフォルニア州立大学ノースリッジ校卒業。ロサンゼルスでバンドマンとして活動。一人で数本のギターが鳴っているように聞こえるフィンガースタイルを得意とする。2011年に帰国、東北大震災の仮設住宅で数々のソロギターコンサートを行う。現在、盛岡市在住。常に新しいアーティストやソングライターとのコラボを大切にしながら、東北一円で精力的にギタリストとし活動を続けている。


会場とステージ一体で盛り上がる

演奏はスタンディングで演奏を続け、曲間のトークでは自分なりの作曲やアレンジの仕方などを披露。演奏は、時に激しく、時に優しく、一本のギターで複数のギター音に聞こえる多彩な奏法で、曲目により聴衆に手拍子やコーラスを求め、聴衆はリズムに合わせ手拍子や体を揺らすなどステージと一体となってアコースティックギターの演奏を楽しんでいました。

演奏された楽曲は次の通り。「ふるさと」「オリジナル曲・嵐の後の静けさ」「スコットランド民謡・アニーローリー」「上を向いて歩こう」「明日があるさ」「オリジナル曲・高原のそよ風」「讃美歌・アメージンググレース」「翼をください」「ビートルズメドレー4曲」「オリジナル曲・リトルジョンズブルース」アンコールの声に応え最後に「カーペンターズ・イエスタディワンスモア」を演奏し終演となりました。

演奏会の余韻の残る中、続いては会員交流会です。会長挨拶に続いて安藤県ユ協連盟顧問の発声で乾杯。公演者山家章裕氏のショートスピーチに次ぐ新会員紹介では佐藤幸夫さん、宮沢友子さんが新ユネスキャンとしての抱負を述べました。


会長も山家氏も最後は盛岡音頭

宮沢さんは20代のお嬢さんで、70年の歴史ある本協会へ新しい風を吹き込んでくれるものと期待されます。しばし歓談の後はビンゴゲーム。舌切り雀の葛籠のごとく、景品は大きい包みだから高価なものが入っているとは限らず、包みを開けてみて会場は爆笑の渦。賑やかに時は経過し、フィナーレは恒例の盛岡音頭輪踊りです。いつもながらに上手もあれば下手もありで踊りは揃はなくても心は一つにまとまった、盛岡ユネスコ協会公演会と会員交流会でした。

創立70周年記念誌 発行

 昨年6月24日は盛岡ユネスコ協会創立70周年記念日で、6月29日アートホテル盛岡で記念の式典、講演会、祝賀会を開催しましたが、このほど「伝えよう先達思い 70年の歩みを」と題した記念誌が完成しました。


表紙は幸せの黄色です

A4版40頁建の小冊子です。この記念誌は平成22年(2010)に発行した「創立60周年記念誌」の続編として編集されたもので、この10年の盛岡ユネスコ協会の事業活動を紹介しながら、あんなこと、こんなこと、筆者の思いも偲ばせた内容となっています。


記念式典紹介と会長メッセージ

「絵がつないだおともだちの会」開催

盛岡ユネスコ協会主催第13回「絵で伝えよう!わたしの町のたからもの」絵画展連携「絵がつないだおともだちの会」が、12月26日午後2時からアイーナ6階団体活動室で開催されました。

当日は、絵画展(令和元年11月15日~17日開催)で入賞した子どもとそのご家族とベトナム・ミャンマーからの留学生、盛岡ユネスコ協会員合わせ60名ほどが参加しました。

入賞者の子ども達はスクリーンに映し出された自分の絵について、描いた時の気持ちや家族に褒められ嬉しかったこと、今後も絵を描き続けたいなどの感想を述べました。ご家族からは、大人にない子どもの感性に改めて驚いたなどの発言がありました。


バンブーダンスに興じる参加者

発表の後は留学生によるミャンマーの新年を祝うダンスやバンブーダンスの披露があり、その後、子ども達もバンブーダンスに挑戦です。はじめは戸惑ってうまく飛べない子ども達も、少しの時間でコツをつかみ軽々通過するようになり、会場は拍手と笑いに包まれました。

ダンスの後は折り紙で「鶴」の制作で、子ども達と留学生が互いに教えたり教えられたり一体となって挑戦していました。子ども達と留学生の絆が生まれた瞬間でした。これから交流が始まることを期待します。なお、この事業は「岩手県国際交流協会助成金活用事業」として実施したものです。

在学青少年社会参加活動「リーダー実践研修会」に参加して

盛岡ユネスコ協会副会長 日山敏子

盛岡市教育委員会主催、盛岡市教育振興運動事業の一環で、中学生社会参加活動推進事業「リーダー実践研修会」が1月26日西部公民館で開催され、市内の中学校から生徒(各校2年生2名)と引率教員合わせ108名と地域関係者23名が参加。私も盛岡ユ協の教育振興推進委員として参加しました。


積極的な発言で~頼もしい中学生

この研修会の趣旨は中学生が地域社会の一員としての自覚と社会参加への関心を高め、その充実に向けて積極的に関わろうとする自主的、実践的な態度を育てることです。現在行っている中学生の社会参加活動が年々充実し、実りあるものとなるようにとのリーダー育成・実践のための研修会です。

前回の第1回は昨年7月30~31日には区界高原少年自然の家で「リーダーの育成」を主眼とした研修会でしたが、今回は「リーダーの実践」を主眼とした研修会でした。

開会行事終了後、各グループ8人で15の分散会に分かれグループ討議が行われました。

テーマは、

① 「地域をさらによくしていくため、私たちに求められる活動は?」
② 「リーダーとしてどう実践につなげていくか」

というものでした。

役割分担も自分たちで積極的に決め、討議を進めていく様子に私は大変感動しました。各地域や生徒会等に対する課題意識の高さ、緻密な課題解決法の工夫、今何をなすべきかの実践法の模索、そして行動にどのように繋げていくのかなど活発に話し合われました。中学生とは思えないほどの洞察力に圧倒されました。

この中学生達がやがてユネスコ協会の会員として活躍する日が来ることを念じてやみません。

第16回 県高校ユネスコ研究大会に参加

岩手県ユネスコ協会連盟主催「第16回岩手県高校ユネスコ研究大会」が“築こう持続可能な未来 誰一人取り残さないために”を大会テーマに、1月10日~11日 岩手山青少年交流の家で開催され、高校生101名と教諭やユネスコ関係者等合わせて150余名が参加、盛岡ユ協から7名が参加し高校生と一緒に勉強しました。


海外協力隊の活動紹介する菊池氏

開会行事の後の講演は「青年海外協力隊 そして これから ~皆さんに伝えたいメッセージ~」と題して講師は菊池真美子氏です。菊池氏は南米ボリビアで理学療法士として青年海外協力隊の活動を行い、現在はJICA岩手デスクとして国際交流センターにおいて国際理解・国際交流の重要性や青年海外協力隊を紹介する活動を行っています。

講演では、JICA(独立行政法人国際協力機構)の活動や海外協力隊の活動、国際理解・国際協力の必要性について、高校生たちが自分も参加してみたいと思えるように、系列的に滑舌よく話してくれました。ボリビアに「okinawa」という村落があることとその歴史を初めて知りました。

公演終了後、高校生たちは大会テーマに沿ってSDGs目標17の内、「人や国の不平等をなくそう」「つくる責任 つかう責任」「陸の豊かさも守ろう」「平和と公正をすべての人に」の四つのテーマを選び分科会に分かれ話合いを通して学習を進め、夕食後は交流学習会で第22代高校生平和大使を務めた二人の高校生から話を聞きました。

二日目は分科会の内容をまとめ、全体発表が行われました。