今年度の国際交流ひろばに歌舞伎を取り上げよう、との決定とほぼ時を同じくして、次のような新聞発表があった。
「歌舞伎、世界無形遺産に選定!国連教育科学文化機関(ユネスコ)は2005年11月25日、日本の『歌舞伎(伝統的な演技演出様式によって上演される歌舞伎)』を第三回『人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言(世界無形遺産)』の対象に選んだ。日本からは2001年の『能楽』、2003年の『人形浄瑠璃文楽』に次いで三件目。日本の文化的伝統に根ざし、歴史、芸術、民族学などの観点から『たぐいない価値を有する』と認められた。」(11/25 日本経済新聞掲載)
これらの報道に後押しされる形で、充実したものにしなければ、との意識が一同の間に高まった。前回の歌舞伎出演者の中村梅玉氏、歌女之丞氏がご紹介くださった解説者兼出演者の中村又之助氏は、すでに国内外で歌舞伎普及のための活動を数多く経験されており、今回の催しに最も相応しい方だったと心から感謝したい。 当日は夕刻から雪模様との天気予報であったが、天の助けか、幸いにも大ホール1階をほぼ満席にする参加者に恵まれたうえ、雪は家路を急ぐ参加者達の帰宅を見届けてから降り始めるという恵まれた一日となった。
第1部 歌舞伎解説は歌舞伎の歴史、女形、立役のしぐさ等の説明が又之助氏により行われ、マーク大島氏の適切な通訳や客席から参加した有志による実演もあり和やかに進行。その後、女形の化粧、着付けを舞台スクリーンに大写ししながらの説明は、今回初めての試みだったが広い会場にふさわしく大変効果的であった。引き続きマーク大島氏による英語による演目解説。これにもスクリーンを活用。
休憩をはさんで第2部は中村京紫さんのあでやかな「藤娘」と、これとは対照的に威勢の良い立役姿の中村又之助さんの「雨の五郎」が観客の目を楽しませた。
今年で18回目を迎えたこの催し、帰りがけにご提出頂いたアンケートによれば日本人も外国の方々も一様にお楽しみ頂いた様子。今後を更に期待され、年に何度もやって欲しいとの到底かなえられない要望の記載もあった。さて、来年は何になるでしょう。お楽しみに、乞うご期待。
(広報: 原田富美子 記)