世界寺子屋運動terakoyaitem

カンボジア・新しい寺子屋完成を待つ村が抱える課題

2014.12.08
現在、カンボジア・シェムリアップ州に、13軒目の寺子屋の建設が進んでいます。
場所は、シェムリアップ市街地から車で2時間ほど離れたところにある「スヴァイレウ郡 タシーム地区 ロハル村」です。
世界遺産アンコール遺跡群の構成遺産のひとつである、ベンメリア遺跡が近くにあります。
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スヴァイレウ郡は、住民の約45%が1日1ドル以下で暮らす、シェムリアップ州で最も貧しい地域です。97%の人々が農業を営んでいますが、土地が痩せている上に灌漑などの農業技術も不足しています。米の収穫量は各家族が1年間に必要とする量を大幅に下回っているため、生活に十分な収入源になっているとは言えません。家畜の飼育も行っていますが、知識不足のためうまく機能していません。
ロハル村のあるタシーム地区には公共の電気が通っていません。住民の55%がバッテリー式の電気を使用しており、テレビ保有率は全体の32%です。
村には幼稚園に通う年齢である3~5歳の子どもは700人以上いますが、幼稚園は1軒しかなく、需要を満たすには程遠い状況です。また、小学校は8校ありますが、学齢期の子どもの約18%は学校に通っておらず、その半分以上は女子児童です。成人に関しても、600人以上(約26%)が読み書きをすることができませんが、この地区には、学齢期を過ぎた大人が基本的な読み書き計算を学べるような、識字クラスがありません。また、保健センターも1軒しかなく、各村から平均約15キロも離れた場所にあります。
このように、タシーム地区には最低限の生活を営むのに必要な設備が揃っていません。
1_20141205.JPG新しい寺子屋の建設予定地↑
建設地を選定する際には、当協会連盟カンボジア事務所のスタッフが、シェムリアップ州教育局や現地の村の当局者など、地元のキーパーソンを巻き込んで、寺子屋の趣旨を住民に丁寧に説明し、複数の候補地についてさまざまな面からの分析を行います。建設地を選ぶ基準としては、立地(環境的な条件やアクセスの良さ)、地区内の貧困率、非識字率の高さなどがあります。
タシーム地区は上記のように大変困難な状況にありますが、地域の人々の意識・やる気が高く、建設地として900㎡の土地寄贈と名義変更、CLC建設地への土壌運搬やフェンス建設への協力などを得ることができたため、新しいプロジェクト地として選ばれました。
2014年9月30日には運営委員選挙が実施され、男女6人ずつ、計12人の運営委員会が選出されました(選挙の様子は、スタッフブログをご参照ください)。
現在は建設工事が進んでいます。どのような寺子屋が出来上がるのか、今からとても楽しみです。引き続き、温かいご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

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