<カンボジア> 教育に生きる母・ヤートさん(後編)
2011.09.20
こんにちは、木村です。前編の続きです。
そのヤートさんの目から突然涙が溢れ出しました。慌ててハンカチを探す私に「実は娘が一人マレーシアまで出稼ぎに行ってしまってね」と切り出しました。聞くと、以前奉公に出した娘(現在24歳)が「お母さんを助けたい」と8ヵ月前、通っていた高校を退学し、マレーシアの工場に働きに出かけたといいます。お金がかかるため連絡は滅多に取れないとのこと。「私が十分に稼げないせいで娘に負担をかけているのが申し訳なくて…」と言葉を詰まらせていました。
一方、今日の式典に来ようと思ったきっかけを尋ねると、「教育への愛」と間髪入れず答えたヤートさん。「私自身の生活が教育を受けたことで変わった。教育の大切さを実感し、子どもたちには絶対に若いうちに教育を受けさせようと必死に働き、今も働き続けている。寺子屋は、豊かな者も貧しい者も若い者も老いた者も誰にでも学ぶチャンスをくれる夢のような場所。だからこれからもずっとこの村にあってほしい」。4年前にお話を伺った時のヤートさんと全く変わらないまっすぐな瞳が今回も深く印象に残りました。