世界寺子屋運動terakoyaitem

フリーアナウンサー久保純子広報特使による「特使通信」カンボジア訪問記【第5回】

2019.09.26


世界寺子屋運動30周年を記念し、 ユネスコ世界寺子屋運動の久保純子広報特使が2019年3月、10年ぶりにカンボジアを訪問。今月の「特使通信」カンボジア訪問記を配信いたします。


カンボジア訪問で、嬉しい再会を果たすことができました。10年前に訪れた際、お母さんのマン・ルーブさんにしっかり抱っこされていた、5歳のオウン・ソダさん。ソダさんは、その時、熱でぐったりしていました。当時、マン・ルーブさんは、28歳で、寺子屋の8ヶ月の識字者クラスに参加したばかりでした。読み書きができないため、子どもが熱を出しても、体温計の目盛りも読めず、なんの病気かを知る術もなく、途方に暮れていました。


10年前にマン・ルーブさんを訪問した時の様子(母の膝上にいるのがソダさん)

寺子屋に通うことによって、薬の瓶の表示が読めるようになり、適切な薬を与えることができるようになる。お店で物を売り買いしても、お釣りで騙されないようになる、と話していたのを覚えています。


 今回、マン・ルーブさんは、夫とともにタイの国境へ出稼ぎに行っていたので、お会いできませんでしたが、お母さんに変わって、家の一切合切を切り盛りしていたのが、15歳になったソダさんでした。見違えるほどお姉さんになっていました。両親が家に戻ってくるのは、年に2回だけ。その間、10歳と3歳の妹の面倒を見ているのがソダさん。朝は6時に起床し、食事作りや家の掃除。その後、中学校に通い、午後、家に帰ってから洗濯を終えると再び学校の補習クラスへ。5時に帰宅後は、夕飯作りに、妹たちの寝かしつけ、読み聞かせをするといいます。15歳とは思えない逞しさに、ただただ感心するばかりでした。


10年後に再会し、すっかりお姉さんになったソダさん(写真真ん中)

再会した一言目が「Hello!」という言葉。そこからもわかるように、ソダさんは、英語の勉強にも力を注いでいました。世界の人たちと話がしたい、というのが理由です。将来は、お医者さんになって、村人を病気から守りたいと話していました。


 「お母さんとはどんな話をしますか?」と尋ねると、「一生懸命勉強して、いろいろなことを学んでね」と言われるというソダさん。母親が教育を受けることによって、学びのバトンが子どもたちへと受け継がれていくことを強く感じました。


ソダさん(左)と一緒に暮らす二人の妹

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