世界寺子屋運動terakoyaitem

フリーアナウンサー久保純子広報特使による「特使通信」カンボジア訪問記【最終回】

2020.06.26

新型コロナウィルス感染症感染拡大防止の対策のため休校中の寺子屋ですが、 再開に向けての準備を進めています。
パンデミック前の2019年3月に寺子屋を訪問した、ユネスコ世界寺子屋運動の久保純子広報特使による「特使通信」カンボジア訪問記の最終回を配信します。

  都市化&これから

昨年の3月、10年ぶりにカンボジアを訪れました。久々に降り立ったカンボジアは、出会うものすべてが、驚くほど以前のそれとはまったく違う印象でした。アンコール寺子屋の拠点であるシェムリアップの空港は、見違えるほど近代化し、街には、携帯電話のお店が軒を連ね、アメリカや韓国資本のコーヒー屋さんには観光客が集っていました。道路に砂埃が舞うことはなく、しっかりとコンクリートで整備され、欧米のような大型のホテルが立ち並び、宿泊した小さなホテルでもWi-Fi環境が充実していて、すべてがすっかり都市化。時代が進んだことを肌で感じました。しかし、シェムリアップから車を走らせ、30分も離れると、そこは以前と同じ長閑な村の風景が広がっています。子どもたちは裸足で駆け回り、鶏が放し飼いにされて、貧しい家々が立ち並んでいました。寺子屋に集まる子どもたちが、依然として、目を輝かせながら、一生懸命黒板に向かっている姿が見られたのは、嬉しい限りでした。


一方で、驚いたことは、シェムリアップで職業訓練を受けて、ホテイアオイのカゴを作るティーンたちは、携帯電話を手にし、ユーチューブでミュージックビデオを見ながら、カゴ作りに励んでいたのです。日本や今住んでいるアメリカの中高生たちとなんら変わらぬ姿に、なんとも不思議な気持ちになりました。確実に、寺子屋運動が新たなフェーズに入っていることを実感します。これだけ情報が溢れる世の中、机上の勉強だけではなくて、例えば、携帯電話を使って他国の子どもたちとテレビ電話(フェースタイム)をするなどまた違った授業を模索できるかもしれない、と勝手に寺子屋の新たな可能性を感じていました。30年目を迎えた日本ユネスコ協会連盟・寺子屋運動。これからの発展に期待しています。

今年は、世界中が想像を絶するパンデミックの脅威にさらされていますが、今、少しずつニューノーマルでの日常が始まろうとしています。一時的に閉鎖されている寺子屋が1日も早く再開し、みんなの笑顔が教室に戻りますように。心から願っています。

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