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バイヨン寺院ナーガ像・シンハ像修復プロジェクト完了!

2020.09.15

2012年に始まった、カンボジア・アンコール遺跡群のひとつ、バイヨン寺院外回廊のナーガ(蛇)とその欄干・シンハ(獅子)像の修復と、現地の修復技術者の育成を行う本プロジェクトが、多くの皆さまからのご支援により、2020年8月末に完了しました 。

このプロジェクトは、日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JASA)の技術協力を得て、アンコール人材養成支援機構(JST)との共同事業として実施しました。8年超を経て、崩落していた多くのエリアの景観が整い、このプロジェクトで採用された若手のカンボジア人スタッフたちが遺跡修復現場の作業員として、スペシャリストに成長したことが大きな成果です。

8月31日、作業現場において、技術者たちへの「修了証授与式」を行いました。
コロナ禍で、残念ながら大勢が集まることは叶いませんでしたが、JST代表のチア・ノル氏をはじめとする関係者のご臨席のなか、日本ユネスコ協会連盟を代表して、ノン・ブッタ カンボジア事務所所長が出席しました。

ブッタ所長に修復箇所を説明するソピアックさん
ブッタ所長から修了証を受け取るラックスメイさん

9名の技術員は9月より、日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JASA)が行う遺跡修復支援の現場で、引き続きスタッフとして携わります。ささやかなセレモニーでしたが、一人ひとりが達成感を味わいつつ今後の活躍を誓う、素晴らしい区切りとなりました。

【スタッフからのコメント】

ノヴ・ソピアックさん(カンボジア人専門家)

「8年前、このバイヨン寺院で働く機会を得られたことは本当に幸せなことでした。若い世代の専門家としてトレーニングを受けることができたことはとても誇らしいことです。
JASAのカンボジア人専門家や日本人専門家、そしてJSTの代表から多くの学びと励ましをもらい、仕事を続けることができました。 この場をかりて、私は日本ユネスコ協会連盟とこの事業をサポートしてくださった皆様に、こうしたアンコール遺跡と共に生きる機会を与えてくださったことに感謝したいと思います。最後に、私は必ずこの仕事を続け、今度は私が次の世代へとこの技術を引き継げるような専門家になれるよう努力を続けます 」

コン・ラックスメイさん(現場作業員・寺子屋のあるリエンダイ村出身)

「このプロジェクトを8年間にわたりサポートしてくださったすべての支援者の方々に感謝します。
私は多くの技術を必要とするこの仕事をとても楽しんでやることができました。私たちのチームのメンバーはこの8年間で石材修理や、新材加工技術、機材運転などそれぞれが様々な分野のエキスパートになることができました。
私たちの遺跡を保存するためのこうした支援をぜひ今後もよろしくお願いします。
私たちもさらに技術を磨き、今度は次の世代へとこの技術を引き継げるような技能員へと成長したいと思います」

この活動は、世界遺産活動へのご寄付により実現しました。参加方法はこちら

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