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【お知らせ】 UNESCO記憶遺産に関するUNESCOへの申し入れ文書

2015.12.04

公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟は、『UNESCO記憶遺産』に関する以下の要望書を英訳し、UNESCOのボコバ事務局長宛に出しました。

イリーナ・ボコバUNESCO事務局長閣下

はじめに、日頃より日本の民間ユネスコ運動に深いご理解を賜りまして、深甚なる感謝を申し上げます。また、本年70周年を迎えるUNESCOが創設以来、『戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない』と謳う、UNESCO憲章の理念を掲げ、教育・科学・文化・コミュニケーションの各分野において他の国連機関では為しえない活動を、着実に実施されてきたことに衷心より敬意を表します。

私たちは、UNESCO憲章の理念に賛同し、平和文化国家再建への夢をUNESCO加盟に託し、政府に先駆けて草の根の運動を開始しました。敗戦の中から芽生えたこの平和への市民運動をUNESCOは温かく迎え、日本のUNESCO加盟を積極的に支援しました。その結果、1951年9月のサンフランシスコ対日平和条約署名に先立つ、6月21日、まだ占領下にあった日本が第6回UNESCO総会で正式加盟国として承認され、国際社会への復帰の第一歩を踏み出すきっかけとなりました。当時の日本にとって、UNESCO加盟が大きな希望の光となったことは紛れもない史実です。

しかしながら、この度の記憶遺産登録に関するUNESCOの不透明な選考プロセスは、多くの日本人を大きな失望とUNESCO不信に陥れました。この間、公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟はUNESCOの日本事務所と誤解した多くの日本国民から、はからずもUNESCOに対する疑念と批判の数多くの言葉を直接投げかけられる結果となりました。

つきましては、UNESCOが公正な機関であることを示す意味においても、例えば、記憶遺産申請に関する関係国全てが事前に協議した上で申請する仕組みや審議状況の公開など、透明性を図っていくため、貴殿の指導力を発揮していただくことを強く希望する次第です。

また、貴殿がこの度の登録を追認された際に表明されましたように、本事業が平和構築のための国際協力や相互理解の増進に貢献できるよう、扱う対象や内容についてもご検討賜ることができれば幸いです。

当協会連盟がNGOとして政府間機関のUNESCOに対してこのような文書を出すことは初めてですが、何卒ご高配賜りますようお願い申し上げます。

2015年11月7日
公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟
会長 松田 昌士

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