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原爆の記憶を残すためにUNESCOパリ本部に送られた天使像

2019.08.09

8月9日は「長崎原爆の日」。7万人以上の命を奪った長崎への原爆投下から74年が経ちました。


爆心地からわずか500メートルの位置にあった「浦上天主堂」は、当時赤レンガ造りの東洋一といわれた大きな教会でした。しかし74年前の今日、原子爆弾が投下され、一瞬のうちに爆風で崩壊、火災で屋根と床の可燃物が焼失し、敷地内にあった聖人像などの石像もほとんどが大破しました。終戦から13年後に解体撤去された同天主堂は、鉄筋コンクリートの建物に作り直され、今では長崎の観光名所の一つとなっています。


この「浦上天主堂」の正面にありながら、原爆の被害を奇跡的に免れた”Angel of Nagasaki”(長崎の天使)と呼ばれる高さ40センチメートルの天使の頭像が、UNESCOパリ本部の日本庭園に面した本部庁舎の壁に飾られています。1976年4月、UNESCO創設30周年を記念して、当時の諸谷義武長崎市長からムボウUNESCO事務局長に寄贈されました。被爆モニュメントのUNESCOへの寄贈は、日本の民間ユネスコ関係者の熱意によって実現したと言われています。

UNESCOパリ本部にて行われた被爆天使頭像除幕式(1976年)


「受難の丘からの長崎市民の長い行脚はまだ緒についたばかり。世界で核実験が行われるごとに、私たちは抗議電報を打ち続けてきた。たとえ無視されようとも私たちは打ち続ける」。除幕式での演説で、諸谷市長はこう語りました。その抗議電文に書かれていたのは「平和ヘノ悲願ヲ無視シタ行為ニタイシ断固抗議する」というメッセージでした。


“原爆の記憶”をこのような形で残し、後世に伝えていくことは、「二度と戦争を繰り返さない」というUNESCO創設時の誓いを守ることにつながります。


政府の政治的及び経済的取極のみに基づく平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かれなければならない。(UNESCO憲章前文より)

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