アクサ ユネスコ協会 減災教育プログラムunesco-axa

減災教育のオンライン教員研修会を開催しました(アクサ ユネスコ協会 減災教育プログラム)

2020.11.09

◆アクサ ユネスコ協会 減災教育プログラムとは

「アクサ ユネスコ協会 減災教育プログラム」は、防災教育・減災教育に取り組む小学校・中学校・高等学校への助成活動・研修事業です。

東日本大震災の経験からの学びを地域社会で生かし、今後起こり得る災害に備えるために、地域の防災拠点として重要な役割を果たす「学校」における防災・減災教育を支援しています。

◆オンライン教員研修会の開催

2020年9月24日(木)・25日(金)の2日間、プログラムの一環として、助成校24校38名の先生方を対象に、オンライン教員研修会を開催しました。

例年は、東日本大震災の被災地を訪問して開催してきた本研修会ですが、今年度はコロナ禍において被災地訪問が困難な状況にあること、また、参加者の安全を考慮して、講師の先生方、参加の先生方、気仙沼市の教育委員会、被災地の学校をオンラインによる中継で結び開催しました。

本研修会は、①新たな視点により学ぶ防災・減災教育の講義②被災地・気仙沼市の経験と実践から学ぶ③グループワークの3つにより構成されています。


【研修報告】

◆新たな視点からの防災・減災教育、学校と地域・外部ネットワークづくりについての

 講義から学ぶ

①災害に見舞われた時には、自主的に判断し、素早く行動し、避難して自らの命を守る力が必要です。合わせて、周囲の人と助け合いながら避難する力も必要です。避難訓練を実施するに留まらずに、子どもたちが判断力や行動力を身に付けられるよう、しっかりとした教育的ねらいを持ってカリキュラム・マネジメントを行うことが重要です。


②災害時に地域の防災・減災拠点となるのが学校ですが、子どもたちが学校外で被災することもあります。防災・減災教育は学校内の学習活動だけではなく、地域と連携した取り組みが大切で、そのために、自治会や行政、NPOなどどのネットワークがより良い取り組みの可能性を広げます。


③防災・減災教育で目指している力は、「自分の身を守る知識や技能、判断力や行動力」、「家族や地域の人たちと連携・協働する力」といった主体的・協働的な力です。これは、学習指導要領にも記載されている「生きる力」を育むことにもつながっています。


各講義後には講師の先生方(上)と参加者の先生(下)の間で質疑応答が行われました

◆被災地の経験と実践から学ぶ

気仙沼市教育委員会の小山教育長や、気仙沼市立階上小学校の先生方からは、震災時の対応や、震災後の防災・減災教育に対する取り組みについて、「行政や地域との連携」、「カリキュラムや授業計画作成」に役立つ話をいただきました。

◆中学生の実践発表とディスカッションから学ぶ

気仙沼市での防災・減災教育に積極的に取り組んでいる気仙沼市立階上中学校の3年生の生徒さんより、実践発表がありました。地域の総合防災訓練や、小学校と連携した防災啓発活動、震災遺構での語り部活動など、中学生が主体的に活動し、自分たちの経験や学んだことを、自分たちの言葉でわかりやすく伝えてくれました。実践発表の後は、参加者の先生方と3年生の生徒さん全員が参加してディスカッションを行いました。生徒さんたちの、「震災から10年近くたち風化を感じる」、「風化させないためにも、自分たちが震災を覚えている最後の世代という自覚を持ち、震災後に生まれた小学生などの下の世代に『伝承』していくことを意識して活動をしている。」という話が印象的でした。


参加者の先生方(下)と中学生(上)のディスカッション

◆高校(災害科学科)の取り組みから学ぶ

東日本大震災後に災害科学科が設置された宮城県多賀城高等学校の阿部教頭先生より、カリキュラム編成や震災の教訓を生かした防災・減災教育の実践についてお話いただきました。外部機関と連携した実践例や、生徒が主体となった「津波波高標識設置活動」や「まち歩きによる震災の伝承」、社会貢献活動などの課外活動についての話は、参加者の先生方にとって。自校での防災・減災教育カリキュラムや授業案の作成に役立つ内容でした。

◆グループワークで考えを深める

研修会の最後には、参加者の先生方が5つのグループに分かれて、グループワークを行いました。研修会で学んだこと、自校での防災・減災教育の実践に取り入れて改善したいことについて、先生同士で積極的な意見交換が行われました。


グループワークの様子
ZOOMの資料共有機能を使った全体発表の様子

◆参加した先生方の声より

●研修に参加したことで、当初考えていたプログラムについて新たなアイデアが 浮かびました。それに対して、校内からのよりよいアドバイス、行政の協力を得ることができたり、PTAの避難訓練体験がプログラムの中で一緒にできるようになったりと、新たな動きがありました。

●東日本大震災の様子や、気仙沼市の防災・減災、ESDの実践を知り、子どもたちに伝えていかなければならないことを改めて実感した。N助の大切さや、N助が持続可能な防災・減災教育につながることがわかり、本校が地域とつながっていけるように計画する必要性を学んだ。

●小中学校の学びの連携の必要性・重要性を改めて感じた。子どもの成長を考えた時、9年間の学びを見通した防災・減災学習計画を立案し、実施していくことで、さらに有用な学びが展開できると考えた。

●震災を知らない子どもたちへの防災・減災教育の必要性を改めて感じた。

●いかにひとりひとりが当事者意識を持つのかという点、自分だけでなく地域・保護者・先生方とも共通意識が持てるように工夫していきたい。

●N助の必要性について、「NPOとの連携をどうしたらできるか」について、「ほとんどの学校からの相談から始まっている」という講義を聞き、行き詰っていた外部との連携に新たな光が見えた。


【主 催】公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟

【協 力】アクサ生命保険株式会社

【後 援】文部科学省

【コーディネーター・講師】及川 幸彦先生(東京大学大学院教育学科研究科附属海洋教育センター)

【講 師】上田 和孝先生(新潟大学工学部工学力教育センター)

【研修協力】認定特定非営利法人 SEEDS Asia、気仙沼市教育委員会

      気仙沼市立階上小学校、気仙沼市立階上中学校、宮城県多賀城高等学校


本プログラムの詳細は下記よりご覧ください。

◎本プログラムのWebサイトはコチラ

◎過去の助成校の活動実績(活動実践例)はコチラ

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