U-Smile ~みんなでつなぐ子ども応援プログラムu-smile

U-Smileプログラム:テストランのご紹介

2023.10.05

日本ユネスコ協会連盟ではU-Smileプログラムの事業化に向け、2022年度に5件のテストランを下記の通り実施しましたのでご紹介します。

ご協力くださった皆さま、ありがとうございました。

▼目次

各テストラン紹介

 1.ふくいユネスコフォーラム

 2.ステップアップ塾 前橋敷島教室

 3.お金を学ぶ教室

 4.研修会「子どもの貧困を考える」

 5.沖縄体験旅行


各テストラン紹介

1.ふくいユネスコフォーラム

2022/10/15(土) ふくいユネスコ協会(福井県福井市)

「ふくいユネスコフォーラム」は、困難な状況におかれた子どもたちについて課題を共有する目的で実施されました。当日は、地元にお住まいの方や行政・教育・福祉関係者、地元企業から約140名が参加されました。

地域の実状をよく知る関係者が率先して参加・発信されることで、子どもたちが置かれている困難な状況や課題についての地域の理解は、より広く、より深くなります。

次の具体的なアクションに向けた土壌づくりという観点から、大変意義深い機会だと感じました。

◆フォーラム概要

基調講演

「日本の子どもの貧困とユネスコ活動」

小山田隆 日本ユネスコ協会連盟 理事

パネルディスカッション

「生きづらさを抱えたすべての子どもたちへ~今、私たちができること」

パネリスト:

吉川美香氏/子ども食堂「かさじぞう」 代表 

橋本達昌氏/児童家庭支援センター「一陽」 統括所長

芝 康弘氏/親子関係支援センター「やまりす」 理事

山田賢一氏/越前市長

小山田 隆/日本ユネスコ協会連盟 理事

コーディネーター:

川上千春/日本ユネスコ協会連盟 参与

【主催】ふくいユネスコ協会

【後援】福井県、福井市教育委員会、越前市、越前市教育委員会、福井新聞社、
福井テレビ、福井県社会福祉協議会、一般社団法人全国銀行協会


2.ステップアップ塾 前橋敷島教室

2022/12/11(日) 維新隊ユネスコクラブ(群馬県前橋市)

東京都で10年継続している食事付個別指導型無料塾「ステップアップ塾」をU-Smileプログラムのテストランとして新たに群馬県前橋市で開塾しました。

ステップアップ塾は、経済的な理由で一般的な塾に通えない子どもたちを対象とした食事付学習塾です。高校生や大学生のボランティアが、小学4年生~中学3年生10名の学習指導を行っています。

前橋敷島教室では、前橋ユネスコ協会との連携や生徒を児童養護施設から募集するなど、これまでにない形で展開を図っています。

塾生の希望によって、家庭から参加する「オンライン授業」と、教室での「対面授業」の2通りの参加方法があります。対面授業に参加した塾生に対して、授業後には食事の提供も行っています。平日の月~金曜日は、18~21時まで教室を自習室として開放。登録者は時間中、自習室内に置かれた軽食・教材・Wi-Fi・パソコン・コピー機を無料で利用できます。塾生からは「先生と勉強以外のことも話せて嬉しい。一緒に食事するのも楽しい」という声もありました。

学習機会の提供と放課後の居場所を確保することで、学力差是正の一助となることを目指しています。


3.お金を学ぶ教室

2022/12/17(土) 宇部ユネスコ協会(山口県宇部市)

困難な状況にある子どもの居場所支援に取り組む一般社団法人キッズラップ(宇部市)と連携し、「お金を学ぶ教室」を開催。「稼ぐ」、「貯める」、「計画的に使う」といった金銭管理について子どもたちに学んでもらいました。

宇部ユネスコ協会の協力のもと、当協会連盟が企画、コーディネート役、主催・講師を宇部ユネスコ協会の団体会員である「山口銀行宇部支店」が務めました。参加した大人との交流もあり、子どもたちは楽しく学ぶことができたようです。

宇部市長を始め、市内の教育関係者や金融庁の方が教室を見学されるなど、困難な状況にある子どもたちへの支援について、多くの方々に関心を持っていただくことができました。

カリキュラム

・名刺交換体験(就業体験)

・銀行は何をしているところ(3大業務の説明)

・おかねの秘密(偽造防止等)

・おかねのクイズ(金銭管理教育)

・札勘大会(職業体験)

参加者からは、「今日のような取り組みが他の地域でも広がっていくのであれば、活動の価値はもっともっと上がる」とのコメントをいただきました。

困難な状況に置かれた子どもたちの周りには、ロールモデルとなる大人が不在で、職業意識や旅行の経験、友達と遊ぶ、自然に触れるなど、「あたりまえ」を体験する機会が乏しい場合があります。

U-Smileプログラムでは、今後も地域と協働し、子どもたちの体験格差を埋めるプログラムを展開していきます。


4.研修会子どもの貧困を考える」

2023/3/18(土) 箕面ユネスコ協会(大阪府箕面市)

施設訪問によるフィールドスタディやグループワークを行いました。研修会には同じ問題意識を持つ全国各地のユネスコ協会から10名の参加がありました。

研修会は箕面ユネスコ協会の坂口会長の「活動はまず現場を知ることから」との考えから企画されたものです。現場を見て、知って、そのうえで行った意見交換は、フォーラムや講演会とは違った学びが得られたように感じます。

困難な状況に置かれている子どもたちに対し、ユネスコ協会としてどのような支援ができるかを改めて考えるきっかけとなりました。

参加した皆さまからのコメント

・課題への意識を強くした。現場の肌感覚から新たな発見や視点を得た。

・地域の大人たちが子どもに時間を割くことが大切で、自然なかたちで関わりを持つことが特に重要だと感じた。

・地域全体が取り組む子ども向け支援の充実に驚いた。所属協会へ取り入れることは簡単ではないが、今後のヒントになった。

・一つの課題に対して、他の協会の方と意見を交わす貴重な機会だった。

・誰もが人や地域との繋がりから自尊感情を育て「生きる力」を育んでいく。キーワードは「繋がり」だ。


5.沖縄体験旅行

2023/3/27(月)~ 3/29(水) 沖縄県ユネスコ協会(沖縄県沖縄市)

「お金を学ぶ教室」に参加した15名の子どもたちが2泊3日で沖縄を訪問しました。沖縄県ユネスコ協会がプログラムを企画し、子どもたちが主体的に活動する機会を提供しました。

「遠隔地への団体旅行」は子どもたちにとって非日常の体験でした。初日は記念撮影もままならない状態だった子どもたちが最終日には大人の話に落ち着いて耳を傾けるようになるなど、主体的に活動へ参加する姿を見て、「短い時間でも、今回の体験は相手を思い遣る気持ちや自己肯定感が高まる大切なきっかけになった」という関係者の声もありました。

体験旅行は、子どもたちが主体性だけではなく、共同生活を通して望ましい生活習慣を形成することや、さまざまな大人との出会いを通して、将来の夢や希望を思い描くきっかけとなり得る、そんな手ごたえを感じています。

旅行中、子どもたち一人ひとりに使い切りカメラを手渡しました。その後、体験旅行で子供たちが撮影した写真を集めた「子ども写真展」を宇部市で開催。訪れた方からは「子どもたちの表情が生き生きとしていて楽しそうな雰囲気が伝わってくる」など、うれしい声をいただきました。

そして、子どもたちのためにできることがまだまだたくさんある、ということも実感しました。


2022年は、困難な状況にある子どもに関する取り組み「U-Smile」事業の立ち上げに向けたテストランを開始しました。事業がより大きく広がっていくために、もっと出来ることがあるはずだとテストランを通じて改めて感じました。

U-Smileにご興味のある方は、以下の事業紹介ページもぜひご覧ください。

■U-Smile ~みんなでつなぐ子ども応援プログラム
https://www.unesco.or.jp/activities/u-smile/

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