世界寺子屋運動terakoyaitem

フリーアナウンサー久保純子広報特使による「特使通信」カンボジア訪問記【第10回】

2020.02.28

世界寺子屋運動30周年を記念し、 ユネスコ世界寺子屋運動の久保純子広報特使が2019年3月、10年ぶりにカンボジアを訪問。第10回目となる「特使通信」カンボジア訪問記を配信いたします。

  つらい過去を乗り越えて


 シェムリアップから、車で東へ30分。木々が生い茂り、未舗装の土の道の彼方から、なにやら可愛らしい歌声が聞こえてきました。コックスロック寺子屋です。幼稚園クラスの子どもたちが、身振り手振り、踊りながらクメール語の歌をうたっていました。教壇に立つのは、29歳で初めて読み書きができるようになったというスグオン・ソパルさん(39歳)です。

 ソパルさんは、自身が歩んできた苦しい道のりを話してくれました。養牛を営む両親のもと、5人兄弟の末っ子として生まれたのは、まさに内戦の真っ只中。1歳の時に、父がポルポト政権に殺害されます。読み書きができ、皆に分け与えるための米を隠し持っていたからというのが理由でした。ほとんど読み書きができなかった母が一人残され、タバコ栽培と稲作で子どもたちを育てたと言います。お米がなくて、お腹が空いてたまらなかったと話すソパルさんは、時折、当時を思い出し、頬を涙で濡らしていました。初めて学校に行ったのは、10歳の時。1.5キロ離れた学校へは裸足で登校。それもわずか2年少々で中退することになります。学校が遠かったのと家が貧しかったため、働き手が必要になったのです。その後は、タバコ畑や田んぼ仕事、ゴザの材料になる草を刈ったり、市場で作物を売ったり、ありとあらゆる仕事をしたそうです。

 20歳で結婚し、3人の子どもに恵まれました。子育ての日々に、変化が訪れたのは29歳の時。寺子屋ができたのです。識字クラスに通い、読み書きを学び、計算も難なくできるようになりました。字を学ぶ以上に嬉しかったのは、自信を持てたこと。ご主人からは、「まるで人が変わったようだ」と最高の褒め言葉をもらったといいます。これまで、何か大事な決断をするとき、ご主人はソパルさんに相談することはなかったそうですが、今では二人で相談して決めるまでになったと、変化を喜んでいる様子でした。ここにも、寺子屋から立ち上がった素晴らしい女性の笑顔がありました。

 国連が掲げるSDGsの開発目標には、貧困撲滅、質の高い教育をすべての人に、男女平等、働きがいと経済成長など、様々な事柄が挙げられています。目標を達成するために、日本ユネスコ協会連盟の世界寺子屋運動は大きな役割を担っています。地球上の、一人でも多くの人が平和で幸せな暮らしを営むことができるように…これからも私たちができることを、大切にひとつずつ積み上げていきたいと思います。

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