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石材の加工ってどうやるの?

2015.01.27
バイヨン寺院「シンハ像・ナーガ像」修復プロジェクト』では、寺院東参道の北側エリアで進められていた修復作業も各部材の修理を終え、欄干を載せる部分の基壇側の問題箇所の改良も完了し、いよいよ再構築の段階にはいりました。
欄干は、大きく3つの層に分けられます。一番下には「地覆(じふく)」と呼ばれる基礎の部分、そのうえには欄干を支える「斗束(とつか)」という部分、そして一番上の欄干の手すり(実際には手すりの役割ではないですが)となる「架木(かぼく)」とよばれる部分。
これらを下の層から順に、安定させながら設置させていきます。こうした作業に並行して、オリジナルの石材が一部かけてしまっていることで、そのまま設置するには不安定な部材に対しては、新しい石材でこうした部分を補てんする必要があります。こうした石材による補てん加工の方法をご紹介します。
1.
まず、石切り場から切り出されて現場に運び込まれてきた石材は、巨大な塊なので、そこから必要な大きさに石材を切り出します。

1_20150127.JPG©NFUAJ/JST、JASA


2.
切り出した石材を、欠けている石材の接地面の形に合わせて削っていきます。新材加工の中ではこの作業が一番難しいかもしれません。

2_20150127.JPG©NFUAJ/JST、JASA
3.
ぴったりと形状をあわせたオリジナルの石材と新しい石材を接着します。
3_20150127.JPG©NFUAJ/JST、JASA
4.
周囲の彫刻に合わせて装飾を施していきます。新しい石材は時間がたつと周囲の色と同化していきますが、この時に後世の人が、どこがオリジナルの部分で、どこか修復で継ぎ足した部分なのかを見分けられるように、装飾については少し粗い段階であえて止めます。
4_20150127.JPG©NFUAJ/JST、JASA
5.
このような作業を経て、安定した部材を再び設置し、彫像が蘇ります。
5_20150127.JPG©NFUAJ/JST、JASA

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